「連絡がなかなかつかない」「聞いたことしか答えてもらえない」「料金の内訳がよく分からない」——税理士の見直しを考えるきっかけは、人それぞれです。ただ、いざ変えようとすると「期の途中で変えて大丈夫なのか」「引継ぎで何を用意すればいいのか」「前の先生に何と伝えればいいのか」のところで止まってしまう方が少なくありません。
このページでは、税理士を変更するときの手順・必要書類・時期の選び方・前任の先生への伝え方の文例までを、順を追ってまとめました。当事務所にご依頼いただくかどうかにかかわらず、ご判断の材料としてお使いいただけます。
はじめにお伝えしておきたいのですが、前任の先生に問題があるとは限りません。事務所ごとに得意な分野や体制は異なり、事業の段階が変われば必要なものも変わります。設立当初は申告さえ済めばよかったものが、従業員が増え、融資や設備投資の判断が出てくると、求めるものが変わってくる——そういう理由での見直しは自然なことです。
変更の手順は5つのステップです
全体で1〜2か月ほどを見ておくと余裕をもって進められます。ご自身で動いていただくのは①〜③までで、④以降は新しい税理士側で対応できます。
① いまの契約内容を確認する
顧問契約書を開いて、契約期間・解約の予告期間・年間の業務範囲を確認します。解約予告が「1か月前」「3か月前」などと定められていることが多く、この期間の見落としが後々のトラブルになりやすい部分です。契約書が見当たらない場合は、請求書の明細から実際に何を依頼しているかを洗い出します。
② 新しい税理士に相談し、見積りを受ける
解約を伝える前に、次の依頼先を決めておくのが安全です。空白期間ができると、申告期限や届出期限が近い場合に対応が難しくなります。相談時には、直近の決算書と申告書の控えをお持ちいただくと、作業量が具体的に分かるため見積りの精度が上がります。
③ 前任の税理士に解約を伝え、書類の返却を受ける
電話だけでなく、書面かメールで記録が残る形で伝えます。あわせて、預けている書類の返却を依頼します。理由を細かく説明する必要はありません。円満に終えるほうが、結果として引継ぎがスムーズになります。伝え方の文例は後半に掲載しています。
④ 新しい税理士と契約し、引継ぎを行う
受け取った資料をもとに、過去の処理の内容を確認します。繰越欠損金、減価償却の方法、消費税の課税方式、届出書の提出状況など、過去の選択が今後の税額に影響する項目を洗い出す作業です。当事務所では、この確認を最初の面談から2週間程度で行い、気づいた点をまとめてご報告しています。
⑤ 税務署への手続き
納税者ご自身が税務署に「税理士を変えた」という届出をする必要はありません。新しい税理士が申告書を提出するときに税務代理権限証書を添付すれば足ります。ただし、電子申告(e-Tax)の利用者識別番号を前任の事務所が管理していた場合は、番号と暗証番号の確認が必要です。この点は下の欄でくわしく触れます。
引継ぎで必要になる書類
前任の税理士から返してもらう、あるいはご自身の控えから用意していただくものです。すべてがそろわなくても引継ぎはできますが、そろっているほど過去の処理を正しく引き継げます。とくに太字の3点は、なくなると後から再現するのが難しい書類です。
決算・申告に関するもの
- 直近3期分の決算書(貸借対照表・損益計算書・株主資本等変動計算書・個別注記表)
- 直近3期分の法人税・地方税・消費税の申告書の控え(別表を含む一式)
- 勘定科目内訳明細書、法人事業概況説明書
- 繰越欠損金がある場合はその明細(別表七)
- 税額控除や特別償却の適用がある場合はその明細
帳簿に関するもの
- 総勘定元帳・仕訳帳(会計データまたは印刷したもの)
- 固定資産台帳、減価償却資産の明細
- 領収書・請求書・通帳などの原始資料(お預けしている場合)
給与・源泉に関するもの
- 源泉徴収簿、年末調整の計算資料
- 給与支払報告書・法定調書合計表の控え
- 社会保険・労働保険の届出関係(依頼していた場合)
届出書の控え
- 青色申告の承認申請書
- 消費税課税事業者選択届出書、簡易課税制度選択届出書、インボイス(適格請求書発行事業者)の登録通知
- 棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書
- 源泉所得税の納期の特例に関する承認申請書
見落としやすいのは「e-Taxの利用者識別番号」です
電子申告に使う利用者識別番号と暗証番号は、納税者ご本人のものです。ただし実務上は税理士事務所が代理で取得し、そのまま管理しているケースが少なくありません。引継ぎのときに確認しておかないと、新しい税理士が電子申告を行う際に番号の再取得や暗証番号の再発行が必要になり、手続きが1〜2週間止まることがあります。解約を伝えるタイミングで、利用者識別番号をあわせて確認しておいてください。地方税ポータル(eLTAX)の利用者IDと、ダイレクト納付を利用している場合の口座情報も同様です。
番号が分からなくなってしまった場合も、税務署での再発行の手続きから当事務所でご案内できます。
いつ変えるのがよいか — 決算期との関係
法人の場合|いちばん動きやすいのは「決算日の直後」
新しい期が始まったタイミングであれば、期首から一貫して同じ税理士が処理することになり、記帳のやり直しや期中の処理方針の食い違いが起きません。次に動きやすいのが決算日の3か月以上前です。この時期なら、決算までに過去の処理を確認する時間が取れます。
反対に、決算日を過ぎて申告期限が1か月を切っている時期の変更は、おすすめしにくいです。新しい税理士は過去の処理を検証しないまま申告書を作ることになり、誤りを引き継いでしまうおそれがあります。この時期にご相談をいただいた場合は、当期の申告は前任の先生に完了していただき、翌期から引き継ぐご提案をすることもあります。
個人事業主・フリーランスの場合|4月から6月がおすすめです
確定申告が終わった直後の時期です。1年分の資料がそろっており、次の申告まで時間があるため、記帳の体制やクラウド会計の導入をゆっくり整えられます。11月から3月は税理士事務所の繁忙期にあたり、新規のご依頼をお受けできる件数が限られます。この時期の変更をお考えの場合は、早めにご相談ください。
消費税の届出には期限があります
簡易課税制度を選ぶ・やめる、課税事業者を選ぶ・やめるといった消費税の届出は、原則として適用を受けたい課税期間が始まる前の日までに提出する必要があります。期をまたぐ変更のときは、この期限を過ぎていないかを最初に確認します。前任の先生がどの届出を出しているかは、必ず控えで確認してください。
期の途中でも引き継げます
「期の途中だから年度末まで待つしかない」と考えて動けずにいる方がいらっしゃいますが、期中からの引継ぎは可能です。当事務所でも期中からのお引き受けに対応しています。ご相談の際に、決算期と直近の申告状況をお聞かせいただければ、どのタイミングが無理のない進め方かをその場でご案内します。
前任の税理士への伝え方(文例つき)
いちばん気が重い部分だと思います。ポイントは3つだけです。
伝えるときの3つのポイント
- 理由は詳しく説明しなくてかまいません。「社内の体制を見直すことになり」「知人からの紹介があり」といった簡潔な表現で十分です。不満を並べても、良い結果にはつながりません。
- 書面かメールで、記録が残る形にします。解約日と、返却してほしい書類をあわせて書いておくと、後のやり取りが減ります。
- 感謝を伝えて終えます。返却してもらう書類の量と早さは、最後のやり取りの印象に左右されます。円満に終えることが、そのままご自身の利益になります。
文例①|顧問契約を終了する場合(法人)
〇〇税理士事務所 〇〇先生 いつもお世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。 このたび、社内の管理体制を見直すこととなり、 誠に勝手ながら、〇年〇月末日をもちまして 顧問契約を終了させていただきたく、ご連絡いたしました。 長らくお力添えをいただき、ありがとうございました。 つきましては、お預けしております下記の書類につきまして、 ご返却いただけますようお願い申し上げます。 ・直近3期分の決算書および申告書の控え一式 ・総勘定元帳、仕訳帳(会計データがあればデータで) ・固定資産台帳 ・各種届出書の控え ・その他お預けしている原始資料 また、電子申告の利用者識別番号につきましても、 お手数ですがお知らせいただけますと幸いです。 ご都合のよい日をお知らせいただければ、 こちらから受け取りにうかがいます。 最後までどうぞよろしくお願い申し上げます。
文例②|確定申告だけを依頼していた場合(個人)
〇〇税理士事務所 〇〇先生 お世話になっております。〇〇です。 来年の確定申告より、別の税理士にお願いすることといたしました。 これまでご対応いただき、ありがとうございました。 お預けしている帳簿と領収書、および過去3年分の 確定申告書の控えをご返却いただけますでしょうか。 あわせて、電子申告の利用者識別番号をお知らせいただけますと 助かります。 お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。
※文例はそのままお使いいただけます。当事務所にご依頼いただくかどうかにかかわらず、ご自由にご活用ください。
費用をどう見比べるか
ここは他の事務所と比べる話ではなく、見積書の読み方の話です。同じ「月額3万円」でも、含まれている業務が違えば年間の総額はまったく変わります。次の3点をそろえてから並べてみてください。
① 月額ではなく年間の総額で見る
顧問料は月額で示されることが多いのですが、実際に1年間で支払う金額は次の合計になります。
顧問料 × 12か月 + 決算申告料 + 記帳代行料 + 年末調整 + 法定調書合計表 + 給与支払報告書 + 償却資産税申告 + 消費税申告 + スポットで発生する業務
決算申告料は顧問料の4〜6か月分に設定されることが多く、ここが抜けていると見積りの印象が大きく変わります。「年間でいくらか」を必ず確認してください。
② 前提条件をそろえる
- 記帳を誰がやるか——記帳代行込みか、ご自身で入力する(自計化)前提か
- 面談の頻度——毎月/四半期/年1回で単価が変わります
- 仕訳の件数——月間何件までが基本料金に含まれるか
- 誰が担当するか——税理士本人か、職員が担当してスポットで税理士が確認する形か
③ 追加料金が発生する条件を確認する
仕訳件数を超えた場合、修正申告が必要になった場合、税務調査の立会い、期中の個別相談。これらが基本料金に含まれるのか、別料金なのか、別料金ならいくらか。契約前に文書で確認しておくと、後の「思っていたのと違う」を避けられます。
当事務所の場合
料金は料金表のページですべて公開しています。顧問料・決算申告料・記帳代行の単価はもちろん、年間費用のモデルケースも掲載しています。下のシミュレーターを使えば、ご自身の条件での概算をその場で確認できます。
年間いくらかかるか、その場で試算できます
現在お支払いの金額と並べて比べていただけます。区分と必要なサービスを選ぶだけで、年間費用の概算がその場で表示されます。入力は1分ほどで、お名前やメールアドレスの入力は必要ありません。
表示されるのは目安の金額です。正式なお見積りは、面談で内容をうかがったうえでご提示します。項目ごとの単価は料金表のページに掲載しています。
当事務所の対応方針
他の事務所との比較ではなく、当事務所が守っている基準としてお示しします。ご検討の際の判断材料としてください。
ご連絡への返信は、通常2営業日以内です
メールフォーム・LINE・お電話のいずれでいただいたご連絡も、通常2営業日以内にご返信しています。受付時間は平日9:00〜17:00、時間外はLINEとメールフォームで24時間受け付けており、お返事は営業時間内に差し上げます。お電話は営業電話が多いため留守番電話に設定していることがありますので、お名前とご用件を残していただければ折り返します。すぐに結論が出せない内容の場合も、「いつまでにお返事します」という連絡だけは2営業日以内に入れるようにしています。
代表がすべての面談と業務を直接担当します
担当者を置く形はとっていません。ご相談の窓口から、記帳の確認、申告書の作成、税務署とのやり取りまで、税理士である代表が直接担当します。「担当者に話したことが先生に伝わっていない」という状態は起こりません。
料金は事前にお見積りし、追加が発生する条件も先にお伝えします
料金表はサイト上ですべて公開しています。ご契約前に、年間の総額と、追加料金が発生する条件(仕訳件数の上限、税務調査の立会い、スポットのご相談など)を書面でお示しします。
期中からの引継ぎに対応します
決算期の途中からのお引き受けにも対応しています。引継ぎの際は、過去の申告内容と届出書の提出状況を確認し、気づいた点をまとめてご報告します。この確認の結果、「当期は前任の先生に完了していただくほうが良い」とご案内することもあります。
平日にお時間が取れない方へ
土日のご相談にも対応しています(事前予約制)。オンライン面談もご利用いただけます。事務所は東急田園都市線「市が尾駅」から徒歩2分です。
クラウド会計をお使いの方・これから使う方
マネーフォワード クラウドを使った記帳体制の構築を支援しています。銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込む形に整えると、月々の入力の手間が減り、数字をリアルタイムで確認できるようになります。現在お使いの会計ソフトからの移行もご相談ください。
よくあるご質問
- Q前の税理士に知られずに相談できますか。
- Aはい。ご相談の内容は外部に一切お伝えしません。税理士には税理士法第38条による守秘義務があり、これは契約に至らなかった場合も同様です。「まだ変えると決めたわけではないが、話だけ聞いてみたい」という段階でのご相談も歓迎します。
- Q期の途中でも引き継いでもらえますか。
- A対応しています。決算期と直近の申告状況をお聞かせいただければ、無理のない進め方をご案内します。ただし申告期限が1か月を切っている場合は、当期は前任の先生に完了していただき、翌期から引き継ぐご提案をすることがあります。
- Q前の税理士が資料を返してくれない場合はどうすればよいですか。
- Aまずは返却してほしい書類を具体的に書き出し、書面またはメールで期日を添えて依頼してください。それでも進まない場合は、所属する税理士会に相談窓口があります。当事務所でも、手元にある資料と税務署で取得できる書類(申告書等閲覧サービスなど)から、引継ぎに必要な情報を組み立てる方法をご案内します。
- Q税務署に届出は必要ですか。
- A納税者ご自身が税理士の変更を税務署に届け出る必要はありません。新しい税理士が申告書の提出時に税務代理権限証書を添付します。ただし電子申告の利用者識別番号を前任の事務所が管理していた場合は、番号と暗証番号の確認が必要です。
- Q過去の申告に間違いがあった場合はどうなりますか。
- A引継ぎ時の確認で気づいた点は、まとめてご報告します。修正申告が必要かどうか、修正した場合の税額と加算税・延滞税の見込み、そのまま置いた場合のリスクを整理してお示しし、判断はご一緒に行います。こちらの一存で手続きを進めることはありません。
- Q相談したら契約しなければいけませんか。
- Aいいえ。初回のご相談は無料で、その場でご契約を決めていただく必要はありません。お見積りをお持ち帰りいただき、他の事務所と比べていただいてかまいません。営業のご連絡もいたしません。
ご相談の流れ
- LINE・メールフォーム・お電話のいずれかでご連絡ください(LINEまたはお問い合わせフォームが確実です)。ご相談内容と決算期をお聞かせいただけると、当日の話が早く進みます。
- 初回のご相談(無料)。事務所またはオンラインで、現在の状況とご希望をうかがいます。直近の決算書・申告書の控えをお持ちいただけると、より具体的なご案内ができます。
- お見積りのご提示。年間の総額と、追加料金が発生する条件をあわせてお示しします。その場でお決めいただく必要はありません。
- ご契約後、引継ぎを開始します。過去の申告内容と届出書の状況を確認し、気づいた点をご報告します。
横浜市青葉区市ケ尾町の事務所で、青葉区・都筑区・緑区を中心にご相談をお受けしています。対応地域の詳細は対応エリアのページ、顧問契約の内容は税務顧問のページをご覧ください。