こんにちは、菅原和望税理士事務所スタッフです。
今日は資産除去債務についてお話したいと思います。
資産除去債務とは?
資産除去債務についてなじみのない方も多いかもしれません。そもそも資産除去債務って何なのでしょうか。
最近、環境問題が取り上げられることが多いですよね。例えば資源のリサイクルや原子力発電所をはじめとした有害物質の適切な処理方法について、テレビで話題にされていることを見たことがあると思います。

有形固定資産のなかには、取得や使用後、これを除去することが義務とされるものがあります。
資産除去債務とは、そんな固定資産を将来適切に処分するにあたって企業が負担すべき費用に着目し、固定資産の取得時に見積もり計上される負債のことです。
資産除去債務の対象範囲
資産除去債務の会計処理について定めているのが「企業会計基準第18号 資産除去債務に関する会計基準」です。
この会計基準では、「有形固定資産の除去に関して法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるもの」について資産除去債務を計上する必要があるとされています。
例えば、アスベストやPCBの除去や鉱山の原状回復義務が該当するほか、賃借建物の原状回復義務についても資産除去債務の対象となるため、幅広い業種の企業が資産除去債務を計上することになります。
※ただし現在、資産除去債務に関する会計基準は、中小企業などでは適用が義務化されておらず、任意適用となります。
資産除去債務の会計処理
資産除去債務を計上する際には以下のような会計処理が必要になります。
①「資産除去債務」の負債計上
将来の有形固定資産の除去にかかる費用を見積もり、現在価値に割り引いた金額を「資産除去債務」として負債計上する
②帳簿価額に除去費用を加算、減価償却
当該有形固定資産の帳簿価額に、負債に対応する除去費用を加算。減価償却により毎期費用化する。
③利息費用の計上
時の経過による資産除去債務の調整額を発生時の費用「利息費用」として費用計上する
資産除去債務の税務上の取り扱い
しかし、資産除去債務については、会計上の取り扱いと税務上の取り扱いが異なることに注意が必要です。
法人税法では、債務が確定したタイミングで損金算入が認められる債務確定基準が採用されているため、
有形固定資産を実際に除去した時点で、資産除去債務に対応する除去費用について税務上損金算入が可能になります。
また、固定資産の取得時には債務が確定したとはいえないため、資産除去債務を計上したことによる減価償却費や利息費用についても税務上の損金算入はできず課税所得に加算する必要があります。

貸借対照表の基本的な見方については、貸借対照表って何?資産の部、負債の部、純資産の部?の記事もあわせてご覧ください。
Q. 資産除去債務はどのタイミングで計上しますか?
A. 対象となる固定資産を取得した時点で、将来の除去費用を見積もって負債として計上します。
Q. 資産除去債務は税務上も同じ扱いになりますか?
A. 会計上は取得時に見積もり計上しますが、税務上は原則として実際に費用が発生した時点で損金算入されるため、両者に差異が生じます。
免責事項
本記事は、掲載時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、その内容の正確性・完全性・最新性を保証するものではありません。法令の改正や個別のご事情により取扱いが異なる場合がございますので、実際のご判断にあたっては必ず専門家にご確認くださいますようお願いいたします。
また、本記事の内容および記事で取り上げたテーマに関するご質問・ご相談・ご意見・お問い合わせ等はお受けしておりません。本記事のご利用により生じたいかなる損害につきましても、当事務所は一切の責任を負いかねます。何卒ご了承くださいますようお願い申し上げます。