こんにちは、菅原和望税理士事務所スタッフです。
先日は納期限までに国税を納付できない場合の対処法についてお話しました。
今日は、ガラッと変わって「違法な所得」の税金上の取り扱いについてお話しようと思います。
ほとんどの方にはあまり関係のない話ですが、最近強盗や振り込め詐欺のニュースが多いので違法所得に対する課税の考え方について整理してみることにします。
違法な所得への税務上の考え方を整理したうえで、それらがもたらすリスクについても触れ、犯罪行為に巻き込まれる可能性が少しでも減らせればと思います。
違法所得への税務上の考え方とは
「違法な所得」が発生するのは、わかりやすい例では、振り込め詐欺による被害金や脅迫・横領したお金など、違法に所得を得た場合です。
そもそも「違法な所得」を得ること自体が倫理に反するということは前提としてあるかと思いますが、実際に違法所得が発生してしまった際にはどのように税金上取り扱われるのでしょうか。
課税すべきでないという考え方
まず、違法所得について課税すべきではないという考え方をみてみましょう。
この考え方には、犯罪による所得を課税対象とすることで国がその犯罪利得を認めることになるため不適切であるという思考が背景にあります。さらに、違法所得はいずれ被害者の方に返されるので課税対象とすべきではないという意見もあります。
これを聞くと、確かにその通りだなと思いますね。
課税すべきという考え方
しかし、この意見は所得税法の考え方からすると、問題があります。
所得税法には「人が新たに経済的利得を得たときはその利得はすべて所得と考える」という考え方があります。(包括的所得概念)
この考え方には、所得が違法であるか適法であるかという判断基準は存在しておらず、純資産が増加したか否かという意味で「所得」に課税するものでした。
頑張って働いて得た所得には課税されるのに、悪い人が犯罪によって得た所得にだけ課税されないのであれば税金上不公平ですよね。
このように考えれば違法所得に課税しないという意見には課税の公平という観点から問題があるのです。
また、残念なことに振り込め詐欺や脅迫して得たお金は常に被害者に返還されるとは限りません。したがって、まず違法所得には課税を行い被害者にお金を返還することになれば、税金を返せばよいという取り扱いが妥当です。
しかし、ここでさらに問題になるのが、加害者が被害者に返還する義務を負っているお金ならば、借入金と同じように所得の増加をもたらすものとは言えないのではないかということです。
借入金はただお金を借りているだけなので利得とはいえず、収入と違って所得にはなりませんよね。これと犯罪による利得が同じではないかという意見です。
この意見からは、違法な所得の司法上の性質により課税所得の対象となったりならなかったりするのではないかという問題が生じます。
つまり、詐欺や脅迫などの取消しうる行為※による利得は、その行為が取り消されるまでは課税対象となる一方、窃盗などの初めから無効の行為による利得は純資産の増加をもたらさないため所得ではない、という違いが生じてしまうのです。
※民法の考え方では、「取消」と「無効」という考え方があります。簡単に言うと「取消」は法律行為に問題があるため、はじめからなかったことにする意思表示です。取り消さない限りは、契約は有効となります。例えば、詐欺や脅迫は取消しうる行為です。一方、「無効」は初めから法律効果に効果がないことをいいます。例えば、窃盗や横領は無効な行為です。
現在の取り扱い
このような考え方を採用していた時期も戦後初期くらいにはあったようですが、現在の取り扱いは異なります。
現在は、無効な行為に基づいて得た利得でも、現実に支配・管理ができる状態であれば所得として課税の対象になるという取り扱いが行われています。
つまり、法律上違法であっても納税者の純資産の増加をもたらすのであれば、課税対象となるのです。変な話ですが、犯罪で得た利得についても確定申告しなければなりません。
したがって犯罪利得についても確定申告しなければ、仮に犯罪行為が警察にばれて捕まった場合は同時に脱税についても罪に問われるということになるのです。

最後に
ここまで違法な所得の税金上の取り扱いについてお話しましたが、もちろん、犯罪行為や違法行為を行うことは決して許されません。
違法行為が発覚した場合、逮捕されるのみならず、無申告についても罪に問われ本税のみならず無申告加算税や重加算税、延滞税が課される場合があります。
このようなリスクを事前に知っておくことで、違法行為に巻き込まれる可能性が低くなるかもしれません。
それでは、最後に違法所得が発生するケースとその後の対応例をみて終わりにしましょう。
Aさんが商品を販売し所得を得たので確定申告をして税金を納めた後、お客さんBから取引に錯誤があるので取り消したいと申し出があった場合です。仮にAさんが錯誤による取引の取消しを認めてBさんに代金を返還した場合は、更正の請求により一度納めた税金の還付を要求することになります。
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よくある質問
Q. 違法な所得にも税金はかかりますか?
A. 現行の実務上の取扱いでは、違法な所得であっても経済的利益が生じている以上、課税の対象となる考え方が採られています。
Q. 違法行為を行うこと自体に税務上のリスクはありますか?
A. はい。所得を正しく申告していない場合には、本税に加えて加算税や延滞税などのペナルティが課されるリスクがあります。
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