こんにちは、税理士の菅原和望です。
会社を設立するということは、夢の第一歩を踏み出した素晴らしい出来事ですが、それと同時に「税務」という、避けては通れない山が目の前に現れます。
「登記が終わったから一安心」と思っていると、思わぬ期限を逃して損をしてしまうことも……。今回は、法人を新設した際に絶対に押さえておきたい注意点と必要な手続きを、分かりやすく徹底解説します!
1 まずはこれから!「設立届出書」の提出
会社が誕生したら、最初に行うべきは税務署への報告です。
💡 法人設立届出書
内国法人(普通法人等)を設立した場合は、設立の日以後二月以内に「法人設立届出書」を所轄税務署長に提出しなければなりません。 この届出書には、以下の書類を添付する必要があります。
・定款の写し(電磁的記録の内容を記載した書類を含む)
・その他、合併や分割により設立された場合は、その契約書の写しなどが必要になることもあります。
また、法人税の納税地は原則として「本店又は主たる事務所の所在地」となります。
2 節税の鍵!「青色申告」の承認申請
会社を経営する上で、最も重要な手続きの一つが「青色申告の承認申請」です。
💡 なぜ青色申告が必要なの?
青色申告の承認を受けると、欠損金(赤字)を翌年以降に繰り越して、将来の利益と相殺できる等の非常に大きなメリットがあります。 新設法人がこの特例を適用するためには、欠損金が生じた事業年度に確定申告書を提出し、帳簿書類を適切に保存している必要があります。
⚠️ 期限に注意!
新設法人の場合、申請期限は通常の法人とは異なります。
設立の日以後三月を経過した日
設立第1期の事業年度終了の日
の、いずれか早い日の前日までに申請書を提出しなければなりません。
この期限を一日でも過ぎると、1期目は「白色申告」となり、赤字の繰り越しができなくなるため、設立後すぐに提出するのが鉄則です。
3 消費税の「免税」と「課税」の分かれ道
新設法人の多くは、設立から2年間は消費税の納税義務が免除される「免税事業者」からスタートします。しかし、これには「資本金」によるルールがあります。
💡 資本金1,000万円の壁
その事業年度の開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である新設法人は、設立1期目から消費税の納税義務が免除されません。
💡 「特定新規設立法人」に該当する場合
資本金が1,000万円未満であっても、以下の要件を満たす場合は「特定新規設立法人」として、1期目から課税事業者となります。
- 他の者(親会社等)によって発行済株式の50%超を保有されている。
- その親会社等の基準期間における課税売上高が5億円を超えている、または総収入金額が50億円を超えている。
あえて最初から課税事業者になりたい場合(多額の設備投資で還付を受けたい時など)は、「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。
4 役員報酬の決め方には「厳しいルール」がある
個人事業主と違い、法人の「役員報酬(給与)」を会社の経費(損金)にするためには、法人税法上の厳しいルールを守らなければなりません。
💡 定期同額給与
原則として、「支給時期が1か月以下の一定期間ごと」であり、かつ「各支給時期の支給額が同額」でなければなりません。 一度決めたら、基本的にはその事業年度内は金額を変えることができません。もし途中で金額をバラバラに変えてしまうと、その分は経費として認められません。
💡 事前確定届出給与
役員に「ボーナス」を支払いたい場合は、あらかじめ「いつ、いくら払うか」を税務署に届け出ておく必要があります。 新設法人の場合、設立の日以後二月を経過する日(または職務開始から一月を経過する日など)が提出期限となります。
5 「源泉徴収」と「納期の特例」
人を雇ったり、自分(役員)に給与を支払ったりする場合、会社は「源泉徴収義務者」となります。
💡 毎月の納付は大変……
給与から天引きした所得税は、原則として「支払った月の翌月10日まで」に国へ納める必要があります。 しかし、給与の支払を受ける人が常時10人未満の小さな会社であれば、申請により年2回(7月と1月)にまとめて納付できる「納期の特例」を受けることができます。
事務負担を減らすために、設立時にあわせて申請しておくのがおすすめです。
源泉徴収についてはこちらの記事をご参照ください。
6 その他の重要チェックポイント
事業年度(決算期)の決定
定款に定めがない場合は、設立から2月以内に届け出る必要があります。
帳簿書類の保存
青色申告法人は、取引を記録した帳簿や領収書などを、原則として7年間(または10年間)保存する義務があります。
登録免許税
株式会社の設立登記には、登録免許税がかかります。特定の創業支援を受けている場合は、税率が軽減される特例もあります。
棚卸資産・減価償却の方法
特別な方法を選びたい場合は、最初の確定申告の期限までに届出書を出す必要があります。
まとめ
法人を新設した際は、「二月以内(設立届)」と「三月以内(青色申告)」という2つの大きな期限が勝負です。
- 設立後2ヶ月以内: 所轄税務署に「設立届」を出す。
- 設立後3ヶ月以内(または1期目の末日まで): 「青色申告承認申請書」を出す。
- 給与支払開始時: 「源泉所得税の納期の特例」を検討する。
- 資本金の設定: 消費税の免税ルールを確認する。
新しい船出を成功させるために、これらの手続きを確実に済ませ、健全な会社運営をスタートさせてくださいね!
具体的な書類の書き方や判断に迷ったときは、ぜひお近くの税務署や税理士さんへ相談してみてください。
横浜市青葉区・都筑区・緑区の個人事業主の確定申告・顧問契約はぜひ菅原和望税理士事務所へ!
よくある質問
Q. 法人を新設したらまず何を提出しますか?
A. 税務署へ法人設立届出書と定款の写しなどを提出する必要があります。
Q. 青色申告の承認はいつまでに申請すればよいですか?
A. 設立後一定の期限内に青色申告承認申請書を提出しないと、青色申告の特典を受けられません。早めの準備が大切です。

法人設立届出書の書式や提出期限の詳細については、国税庁の公式サイトでも確認できますので、あわせてご参照ください。
法人を解散する際の税務上のポイントについては、「法人解散」の税務上のポイントもあわせてご覧ください。
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