皆様、こんにちは。税理士の菅原和望です。
横浜市青葉区・都筑区で事業を営む方や個人の方からも、こうしたご相談を多くいただいています。
前回は青色申告のメリットの1つ、繰越控除(純損失の繰越控除)についてお話ししました。
これまで「青色申告」の数々のメリットをお伝えしてきましたが、その特典を最大限に引き出すための「鍵」となるのが、今回解説する「複式簿記」です。
「複式簿記って難しそう……」「帳簿を左右に分けるやつでしょ?」というイメージをお持ちの方も多いはず。

税理士の視点から、なぜこの記帳方法が重要なのか、そして法律(所得税法・法人税法)でどのように定められているのかを分かりやすく紐解いていきましょう。
1 複式簿記は「お金の動き」の理由まで記録する
一般的なお小遣い帳(単式簿記)が「何にお金を使ったか」だけを記録するのに対し、
複式簿記は「正規の簿記の原則」に従い、一つの取引を「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」の2つの側面から記録します。
例えば、10万円の備品を現金で買った場合:
単式簿記
「備品費10万円」とだけ書く。
複式簿記
「備品が増えた(資産の増加)」と「現金が減った(資産の減少)」の両方を記録する。
このように、資産、負債、資本に影響を及ぼす一切の取引を、整然と、かつ明瞭に記録するのがルールです。
2 複式簿記に欠かせない「2つの帳簿」
法律上、複式簿記を行う際には主に以下の2つの帳簿を備え付ける必要があります。
仕訳帳(しわけちょう)
すべての取引を発生順に、借方と貸方に仕訳して記録する帳簿です。取引の年月日、内容、勘定科目、金額を記載します。
総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)
仕訳帳に書いた取引を、「現金」「売掛金」「消耗品費」といった勘定科目ごとに整理し直して記録する帳簿です。これにより、「今、現金がいくらあるのか」「今月の売上は合計いくらか」がひと目で分かるようになります。
3 ゴールは「経営の健康診断書」を作ること
複式簿記で日々の記録を積み重ねる最終的な目的は、「貸借対照表」と「損益計算書」という2つの決算書類を作成することにあります。
損益計算書(P/L)
一定期間で「どれだけ稼いで、どれだけ使ったか」という経営成績を表します。
貸借対照表(B/S)
決算日時点で「どれだけ財産(資産)があり、どれだけ借金(負債)があるか」という財政状態を表します。
この貸借対照表まで作成できて初めて、自身の事業の本当の「健康状態」を把握できるのです。
4 なぜ「複式簿記」を頑張る必要があるのか?
それは、税制上の大きなご褒美があるからです。
個人事業主の場合、この複式簿記(正規の簿記の原則)によって記帳し、貸借対照表と損益計算書を申告書に添付することで、最高55万円(e-Tax等を利用すれば65万円)の「青色申告特別控除」を受けることができます。
逆に、簡易的な記帳(単式簿記など)の場合は、控除額が10万円に下がってしまいます。この45万円〜55万円の差は、節税額として考えると非常に大きいですよね。
5 税理士からのアドバイス 現代はソフトにお任せ!
「複式簿記の原則に従う」と聞くと、専門的な知識が必須に思えますが、ご安心ください。
最近の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードとの連携により、自動で複式簿記の形式(仕訳)に変換してくれるものが主流です
(※注:ソフトの機能についてはソース外の情報です)。
法人の場合は、そもそも複式簿記の原則に従って記録し、決算を行うことが義務付けられています。
個人の方も、事業を成長させて法人化を見据えるのであれば、早いうちから複式簿記に慣れておくことを強くお勧めします。
正確な帳簿は、税務署のためだけでなく、「あなた自身の経営判断」を助ける強力な武器になります。
記帳の進め方がわからない…どの勘定科目を使えば良いの?という方へ。
当事務所では記帳から申告まで請け負うことができます。
横浜市青葉区・都筑区・緑区の個人事業主の確定申告・顧問契約はぜひ菅原和望税理士事務所へ!
正しい簿記で、クリーンで強い経営を目指しましょう!

複式簿記の詳しい会計基準については、企業会計基準委員会のウェブサイトもご参照ください。
よくある質問
Q. 青色申告にはなぜ複式簿記が必要なのですか?
A. 最大65万円の青色申告特別控除を受けるための要件として、複式簿記による記帳が定められているためです。
Q. 複式簿記ではどんな帳簿を作成しますか?
A. 仕訳帳や総勘定元帳を作成し、取引を借方・貸方の両面から記録します。
複式簿記の基本については、会計初心者向け 簿記って何?取引とは?でもわかりやすく解説しています。
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