皆様、こんにちは。税理士の菅原和望です。
最近は「副業」に挑戦される方が非常に増えていますが、税務相談で特によく受けるのが「自分の副業は『事業所得』として申告できるのか?」というご質問です。
副業が「事業所得」と認められれば、赤字を給与所得と相殺(損益通算)できたり、青色申告の強力な特典を受けられたりとメリットが多いため、非常に重要なポイントです。
1 法律上の「事業所得」の定義
まず、所得税法では事業所得を「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得」と定めています。
さらに、所得税法施行令第63条では、具体的な業種を列挙した上で、最後に「対価を得て継続的に行なう事業」という包括的な定義を設けています。
つまり、副業を事業所得とするための基本的な柱は以下の2点です。
- 有償性(対価・利益を得る目的があること)
- 継続性(単発ではなく、繰り返し行っていること)
2 「事業」として認められるための実務上のポイント
法律の文言だけでは「どこからが事業か」の判断が難しいため、実務上は以下の要素が重視されます。
① 帳簿の備付け・保存
所得税法第232条では、事業所得を生ずべき業務を行う人は、原則として帳簿を備え付け、収入や経費を記録し、保存しなければならないと義務付けています。
逆に言えば、適切な帳簿を付けていない副業は、その実態が「事業」とは認められにくく、多くの場合「雑所得」として扱われることになります。
② 収入金額「300万円」という目安
所得税法には、雑所得であっても「業務に係るもの」であれば、前々年の収入金額が300万円を超える人には書類の保存義務を課す規定があります。
近年の税制改正の背景には、「収入が300万円以下で、かつ帳簿を保存していない場合」は、原則として事業所得ではなく「雑所得」として取り扱うという実務上の運用基準が示されています
(※注:通達等の実務運用。所得税法第232条の規定がその根拠の一つとなっています)。
3 事業所得として認められるためのチェックリスト
副業を事業所得として申告するには、以下の状況を整えておくことが推奨されます。
帳簿を付けていること
日々の取引を正規の簿記の原則(複式簿記)などで正確に記録し、領収書等の書類を保存している。
継続して取り組んでいること
たまたま利益が出た年があるという程度ではなく、安定的に稼ぐ意思と活動がある。
相応の規模があること
一般的に「お小遣い稼ぎ」の域を超え、生活の糧の一部と言えるような規模感(収入300万円超が一つの目安)。
開業届を出していること
新たに事業を開始した場合は、速やかに税務署へ届出書を提出する必要があります。

↓開業時の税務手続きについてはこちらの記事をご覧ください。
まとめ 税理士からのアドバイス
「事業所得」か「雑所得」かの判定は、単に収入額だけで決まるものではありません。しかし、所得税法の規定(特に帳簿の保存義務)を鑑みると、「きちんと帳簿を付けて、継続的に商売として行っているか」が最大の判断基準となります。
もし、帳簿も付けずに「赤字が出たから給与と相殺したい」といった申告をすると、後に税務署から「それは事業ではなく雑所得である(=損益通算は認められない)」と否認されるリスクがあります。
副業を本格的に事業として育てていきたい方は、まず青色申告の承認申請を出し、しっかりと帳簿を付けることから始めましょう。
確定申告の詳しい制度については、国税庁のウェブサイトもあわせてご確認ください。
副業の所得が20万円以下で所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税(地方税)のみ申告が必要になるケースがありますので、あわせてご確認ください。
当事務所では帳簿付けから申告まで承ることができます。
横浜市青葉区・都筑区・緑区の個人事業主の確定申告・顧問契約はぜひ菅原和望税理士事務所へ!

よくある質問
Q. 副業所得が事業所得と認められる基準は何ですか?
A. 継続性や営利性、社会的地位など事業としての実態があるかどうかで総合的に判断されます。
Q. 事業所得として申告するメリットは?
A. 損失が生じた場合に給与所得など他の所得と損益通算できる点が主なメリットです。
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