皆様、こんにちは。税理士の菅原和望です。
ダイヤモンドコア施工業者が職人を雇用する場合、正社員・応援職人など雇用形態によって社会保険・労働保険の適用関係が異なります。雇用形態を明確に整理しておかないと、後から保険料の未加入を指摘されるリスクもあるため、早い段階で整理しておくことが望まれます。
この記事では、雇用形態別の社会保険・労働保険への加入要件と、一人親方特有の労災保険制度について解説します。
正社員・従業員の社会保険
法人が常時雇用する従業員は、原則として厚生年金・健康保険(社会保険)への加入が義務です。個人事業でも常時5人以上の従業員を使用する場合は、業種によって適用対象となることがあります。対象となる業種や人数の基準は複雑なため、判断に迷う場合は年金事務所や社会保険労務士に確認することをおすすめします。
一人親方の労災保険特別加入制度
個人事業主であるダイヤモンドコア施工業者自身は、原則として労災保険の対象外ですが、「一人親方等の特別加入制度」を利用することで、業務中の事故やケガに備えることができます。建設業(解体工事業を含む)は特別加入の対象業種であり、多くの職人が加入しています。加入していない場合、業務中の事故で大きな治療費や収入減が生じても補償を受けられないため、早めの加入検討が望まれます。
応援職人(業務委託)の取扱い
業務委託契約の応援職人は、原則として社会保険・労働保険の対象外です。ただし実態が雇用に近い場合は「労働者」と判断され、社会保険・労働保険への加入義務や、遡及した保険料請求が発生するリスクがあります。こうしたリスクを避けるためにも、契約書の内容と実際の業務の進め方に食い違いがないか、定期的に見直すことが重要です。
社会保険料の会社負担と資金計画
社会保険料は労使折半となるため、従業員数の増加は会社の固定費増加に直結します。増員計画を立てる際は、社会保険料の会社負担分を含めた人件費シミュレーションを行い、資金繰り計画に反映させることが重要です。特に急な増員は固定費の急増につながるため、繁忙期だけの需要であれば応援職人の活用も含めて検討するとよいでしょう。
健康管理と法定健康診断の実施義務
粉じん作業に従事する労働者に対しては、じん肺法に基づく健康診断の実施が義務付けられています。通常の雇入れ時・定期健康診断に加え、粉じん作業特有の健康管理が必要となるため、該当する作業内容がある場合は、労働基準監督署へ確認しておくことをおすすめします。健康診断費用は法定福利費として経費計上できます。健康診断の実施を怠ると、労働安全衛生法違反として指導を受ける可能性があるため、対象となる作業がある場合は忘れずに実施しましょう。
外国人労働者の雇用における留意点
人手不足を背景に、外国人労働者を雇用する建設業者も増えています。在留資格の確認や、社会保険・労働保険の適用については日本人従業員と同様の扱いが基本となりますが、就労可能な在留資格であるかの確認を怠ると、不法就労助長罪確認を怠ると事業者側も罪に問われる可能性があるため、雇用契約前に在留カードの提示を求めるなど、確認体制を整えておくことが重要です。就労可能な在留資格であるかの確認を怠ると、不法就労助長罪に問われるリスクがあるため注意が必要です。
労働保険料の年度更新手続き
労働保険(労災保険・雇用保険)は、毎年6月1日から7月10日までの間に、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料を申告・納付する「年度更新」の手続きが必要です。職人の増減が多いこの業種では、賃金総額の集計を正確に行い、申告漏れがないよう注意しましょう。集計を誤ると追加納付や還付の手続きが発生し、事務負担が増えるため、日頃から賃金台帳を正確に整備しておくことが望まれます。
健康診断結果の記録と保存義務
実施した健康診断の結果は、健康診断個人票として作成し、一定期間(じん肺健康診断は7年間等)保存する義務があります。労働基準監督署への報告が必要な場合もあるため、実施状況を一覧化して管理しておくことをおすすめします。記録の保存を怠ると、労働基準監督署の調査時に指摘を受ける可能性があるため、担当者を決めて管理体制を明確にしておくとよいでしょう。
特殊健康診断の実施頻度と費用負担
粉じん作業やその他有害業務に従事する場合、通常の定期健康診断に加えて特殊健康診断の実施が必要になることがあります。実施頻度は業務内容により異なるため、労働基準監督署や産業医に確認しておくことをおすすめします。費用は事業主負担が原則です。対象者を見落とすと法令違反となるおそれがあるため、粉じん作業に該当する業務を洗い出し、対象者リストを整備しておくことをおすすめします。
あわせて、ダイヤモンドコア施工業者の開業届出|開業時に必要な税務手続きを解説やダイヤモンドコア施工業者の確定申告|白色申告と青色申告どちらが得かについても解説していますので、ぜひご覧ください。
よくあるご質問
一人親方の労災保険特別加入はどこで手続きしますか
労働基準監督署長の承認を受けた一人親方労災保険組合等の特別加入団体を通じて手続きを行います。建設業の一人親方が加入できる団体は多数あるため、比較検討することをおすすめします。団体によって会費や補償内容、加入できる給付基礎日額の範囲が異なるため、自身の働き方に合った団体を選ぶことが大切です。
応援職人を社会保険に加入させる必要はありますか
契約上は不要ですが、実態として雇用とみなされる場合は加入義務が生じ、遡って保険料を請求されるリスクがあります。契約内容と実態の整合性の確認が重要です。定期的に契約内容を見直し、実態が変化していないかを確認することで、思わぬリスクを未然に防ぐことができます。
個人事業の職人でも社会保険の加入義務はありますか
個人事業の場合、常時5人以上の従業員を使用する一定の業種で加入義務が生じます。該当するかは事業形態により異なるため、社会保険労務士・年金事務所への確認をおすすめします。確認を怠り未加入のまま放置すると、後日まとめて保険料の請求を受けることもあるため、早めの確認が安心につながります。
まとめ 税理士からのアドバイス
ダイヤモンドコア施工業者の社会保険・労働保険は雇用形態により適用関係が異なり、一人親方は特別加入制度の活用も重要です。人件費計画とあわせて、社会保険労務士・税理士に相談しながら適切な体制を整えましょう。人材の確保と定着のためにも、適切な保険制度への加入は職人からの信頼につながる重要な要素です。
労災保険特別加入制度の詳細は厚生労働省の案内をご確認ください(厚生労働省)
横浜市青葉区・都筑区の税理士事務所
菅原和望税理士事務所
税理士 菅原和望
運営者情報|代表はダイヤモンドコア施工会社「株式会社カプロス」の経営者
当事務所の代表税理士・菅原和望は、税理士業務に加えて、ダイヤモンドコア工法によるコンクリートの穿孔・切断・解体工事を手掛ける「株式会社カプロス」の経営も行っています。実際に施工現場の資金繰りや機械工具への設備投資、外注・応援職人の活用、重層下請け構造の中での契約関係といった業界特有の課題を、経営者として日々体感しているからこそ、税務の専門知識と現場のリアルな感覚を両立したアドバイスが可能です。ダイヤモンドコア施工業ならではの繁閑の波や、天候・現場状況に左右されやすい売上の特性についても、実体験を踏まえて具体的にご提案できます。
さらに、株式会社カプロスでは、ダイヤモンドコア施工の技術を持つ職人・スタッフの人材募集も行っています。税理士事務所の顧客開拓と、施工会社の人材募集を両輪で行っているからこそお伝えできる、業界のリアルな情報もご提供しています。
建設会社を経営される方は、こちらの記事「横浜市青葉区・都筑区の建設会社が顧問税理士をつけるメリットと選び方」もあわせてご覧ください。
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