皆様、こんにちは。税理士の菅原和望です。
飲食店の記帳は、現金・カード・QR決済・デリバリー代行の入金が混ざり、軽減税率の区分もあるため、手作業では続きません。この記事では、飲食店に向いた会計ソフトの選び方、POSレジ・キャッシュレス決済との連携、軽減税率と原価率を管理するための設定、帳簿アプリで日々の記帳を回す方法を、横浜市青葉区・都筑区で飲食店の記帳・申告を担当している税理士が解説します。
飲食店の税務を全体から確認したい方へ
開業手続き・確定申告・経費・軽減税率と消費税(インボイス)・人件費と社会保険・税務調査・法人化・閉店までを1ページにまとめた飲食店の税務 完全ガイドも公開しています。この記事はそのうちの1テーマを詳しく解説したものです。
この記事の結論(先に3行で)
- 飲食店の会計ソフトはマネーフォワード クラウド・freee・弥生のクラウド版から、使っているPOSレジと連携できるものを選びます。順番は「レジ・決済→会計ソフト」です。
- 設定で必ずやるのは売上を「店内10%/持ち帰り8%/酒類」で分けること、決済手数料を差し引く前の総額で売上を計上することの2つ。消費税申告と原価率の計算に直結します。
- 日々の作業はレジ締めの日計表を自動取込、仕入の請求書をスマホで撮影の2つだけに絞り、月1回の仕訳確認で回します。
飲食店が会計ソフトを選ぶ3つの基準
- POSレジ・キャッシュレス決済と自動連携できるか:レジの日計表(税率別・決済手段別の売上)が会計ソフトに自動で入る組み合わせにすると、閉店後の転記作業がなくなり、売上の計上漏れも防げます。
- 軽減税率・インボイス・電子帳簿保存に対応しているか:店内10%・持ち帰り8%の区分、適格簡易請求書(レシート)の要件、電子で受け取った請求書の保存に対応していること。主要なクラウド会計は対応済みです。
- 仕入・人件費を部門や店舗別に見られるか:原価率(食材費÷売上)と人件費率(FLコスト)を月次で見るのが飲食店の数字管理の基本です。複数店舗なら店舗別の損益が出せるか確認します。
飲食店におすすめの会計ソフト比較
| ソフト | 特徴 | 向いている飲食店 |
|---|---|---|
| マネーフォワード クラウド確定申告/クラウド会計 | 銀行・カード・電子マネー・決済サービスの連携先が多く、Airレジ・スマレジ・Squareなどのレジ連携に対応。部門別・店舗別の損益が見やすい。給与・勤怠・請求書も同じシリーズ。当事務所が導入から運用まで支援しているのはこのソフトです | 複数店舗や法人化を見据える店、キャッシュレス決済の種類が多い店 |
| freee会計 | 簿記の知識がなくても質問に答える形で入力できる。レジ連携・給与計算も一体化 | はじめて確定申告をする個人店 |
| 弥生会計 オンライン/やよいの青色申告 オンライン | 仕訳形式の入力で会計に慣れた方向け。個人向けは料金が抑えめ | 自分で簿記の形で記帳したい方、コストを抑えたい個人店 |
いずれも個人事業主向けプランは月1,000〜3,000円程度で無料トライアルがあります。機能や連携先は改定されるため、導入前に各社サイトで最新の対応状況を確認してください。
POSレジ・キャッシュレス決済との連携|売上の手入力をなくす
| レジ・決済サービス | 会計ソフトとの連携 | 補足 |
|---|---|---|
| Airレジ(エアレジ)+Airペイ | マネーフォワード・freee・弥生と自動連携 | レジアプリ無料。小規模店の導入が多い。軽減税率の商品設定に対応 |
| スマレジ | マネーフォワード・freee・弥生と自動連携 | 部門別・商品別の分析が細かく、多店舗・テイクアウト併用店向け |
| Square(スクエア) | マネーフォワード・freee・弥生と自動連携 | 決済端末とPOSが一体。カフェ・バーなど単価の低い業態で多い |
| ユビレジ | マネーフォワード・freeeと連携 | 飲食店向けの機能(テーブル管理・ハンディ)が充実 |
| デリバリー代行(Uber Eats・出前館など) | 売上明細をCSVで取り込む | 手数料を差し引いた入金額ではなく、注文の総額を売上(8%)に計上し、手数料を支払手数料に分ける |
カード・QR決済は、売上日と入金日がずれ、手数料が差し引かれて入金されます。会計ソフトでは売上を日計表の総額で計上し、決済会社ごとの売掛金で入金を消し込み、差額を支払手数料にする設定にしておきます。これをしないと売上と原価率が過少になり、消費税の申告額も誤ります。
開業時にやっておく設定|軽減税率・部門・自動仕訳
- 売上の部門:「店内飲食(10%)」「持ち帰り・宅配(8%)」「酒類(10%)」で分けます。消費税の申告に必要なだけでなく、簡易課税を選ぶ場合は店内飲食が第4種(60%)、持ち帰り・宅配が第3種(70%)と事業区分も変わります。詳しくは「飲食店の軽減税率」をご覧ください。
- 仕入の区分:食材(8%)と酒類・消耗品(10%)を分け、仕入先ごとに自動仕訳ルールを登録します。月末の未払いの仕入も計上し、年末は食材・酒類の在庫を棚卸します。
- 決済会社ごとの売掛金:カード会社・QR決済・デリバリー代行ごとに補助科目を作り、入金のたびに消し込みます。
- まかない・自家消費:従業員のまかないは福利厚生費(要件あり)、自分や家族が食べた分は自家消費として売上に計上します。
- 給与との連携:アルバイトを雇う店は、勤怠・給与計算ソフトを同じシリーズでそろえると、給与の仕訳・源泉所得税の納付書・年末調整までつながります。
日々の記帳をアプリで回す方法
- 閉店後:レジを締めるだけ。日計表は翌朝までに会計ソフトへ自動で取り込まれます(連携がないレジは、日計表の写真を撮って週1回まとめて入力)。
- 仕入・経費:請求書・レシートはスマートフォンのアプリで撮影し、AI-OCRで日付・金額・取引先を読み取らせます。感熱紙は印字が薄れる前に撮影します。
- 月1回:未仕訳の取引を確認し、原価率・人件費率・家賃比率を前月と比べます。税理士がいる場合はここで月次チェックを依頼します。
- 年末:在庫の棚卸、減価償却資産の確認、青色申告決算書の出力、e-Taxで申告。
よくあるご質問
Q. 会計ソフトはどれを選べばよいですか?
A. 使っているレジと連携できるものを選べば大きな差はありません。当事務所が記帳・申告で対応しているのはマネーフォワード クラウドのみで、他のソフトをお使いの方はマネーフォワード クラウドへ乗り換えていただく形で対応しています(データ移行もお手伝いします)。
Q. レジは安いもので十分ですか?
A. 税率別・決済手段別の日計表が出て、会計ソフトと連携できることが条件です。Airレジのように無料で始められるものもあるため、開業時はレジと会計ソフトの組み合わせを先に決めてから機器を選んでください。
Q. 会計ソフトを導入すれば記帳は税理士に頼まなくてもよいですか?
A. 日々の入力はソフトでほぼ自動化できますが、決済手数料の処理、軽減税率と簡易課税の区分、まかない・自家消費、減価償却など判断が必要な部分は残ります。月1回のチェックを税理士に任せる形が、個人の飲食店では最も負担が少ない運用です。
Q. エクセルや手書きの帳簿ではだめですか?
A. 青色申告の10万円控除なら可能ですが、65万円控除(令和9年分以後は75万円)には複式簿記の帳簿とe-Taxが必要で、取引件数の多い飲食店をエクセルで続けるのは現実的ではありません。
まとめ 税理士からのアドバイス
飲食店の会計ソフトは「レジと連携できるか」「税率と決済手数料を正しく処理する設定になっているか」で決まります。開業前にレジ・決済・会計ソフトの組み合わせを決め、部門と自動仕訳ルールを整えておけば、開業後の記帳はレジ締めと請求書の撮影だけになり、原価率と人件費率を毎月見ながら経営できます。
菅原和望税理士事務所では、マネーフォワード クラウドを使った飲食店の初期設定・記帳代行・確定申告をサポートしています。
確定申告の基本については「飲食店の確定申告ガイド」、経費の取扱いについては「飲食店の経費と設備投資」、人件費・社会保険については「飲食店の人件費と社会保険」もあわせてご覧ください。
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電子帳簿保存法の詳細については、国税庁の公式サイトでもご確認いただけます。
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