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横浜市で会社を設立する前に決める7つのこと|資本金・決算期・役員報酬・本店・許認可・社会保険・インボイス

皆様、こんにちは。税理士の菅原和望です。

会社設立の手続きそのものは、定款を作って登記を申請すれば数週間で終わります。しかし、設立前に決めた内容が、設立後の税金・社会保険・資金調達にそのまま影響します。あとから変えるには登記や届出のやり直しが必要になるものも多く、「決める順番」を間違えると損をしやすいのが会社設立です。

この記事では、横浜市(青葉区・都筑区・緑区)で会社を設立する方が、登記の前に決めておきたい7つのことを、税理士の立場から整理します。設立の手順・実費・届出先は「会社設立・独立開業ガイド」に一覧でまとめていますので、あわせてご覧ください。

※本記事は2026年9月時点の法令・公表資料にもとづいています。

1. 会社の形態:株式会社か合同会社か

最初に決めるのは会社の形態です。実費と信用面の違いが主な判断材料になります。

項目 株式会社 合同会社
登録免許税 資本金の0.7%(最低15万円) 資本金の0.7%(最低6万円)
定款の認証 公証役場で必要(手数料3万〜5万円。一定の要件で1万5,000円) 不要
定款に貼る収入印紙 紙の定款は4万円(電子定款は不要) 同じ
役員の任期 原則2年(非公開会社は最長10年) 任期なし
決算公告 義務あり 義務なし
対外的な印象 一般に知られており、取引先・採用面で無難 費用と手間は少ないが、業種により説明が必要な場面もある

横浜市の「特定創業支援等事業」の証明書があれば、登録免許税は株式会社で最低7.5万円、合同会社で最低3万円に半減します。ただし証明書は登記の前に取得しておく必要があり、対象セミナーの受講に1か月以上かかります。設立を急ぐ事情との兼ね合いで判断してください。

2. 資本金:1,000万円未満にするかどうか

資本金は1円でも会社は作れますが、税金と融資の両面から考えると「いくらにするか」は重要です。

  • 消費税:資本金1,000万円未満で設立した会社は、原則として設立1期目は消費税の納税義務がありません。2期目も、1期目の最初の6か月の課税売上高と給与支払額のいずれかが1,000万円以下であれば免税です。資本金が1,000万円以上だと1期目から課税事業者になります。
  • 法人住民税の均等割:赤字でもかかる均等割は、資本金等の額が1,000万円以下・従業者50人以下の会社の場合、横浜市が年54,500円(横浜みどり税を含む)、神奈川県が年20,000円で、合計74,500円です。資本金等が1,000万円を超えると金額が上がります。
  • 創業融資:日本政策金融公庫や横浜市の制度融資の審査では、資本金は自己資金として見られます。借入希望額とのバランスを考え、見せ金ではなく実際に用意できる金額で設計します。
  • 許認可:建設業許可(一般)の財産的基礎(自己資本500万円以上など)のように、業種によっては資本金の水準が許可要件に関わります。

実務上は、当面の運転資金を確保しつつ1,000万円未満に収める設計が多くなります。インボイス発行事業者の登録をすると免税のメリットは受けられなくなるため、取引先の状況(インボイスを求められるか)とあわせて決めます。

3. 決算期:いつ決算にするか

決算期は自由に決められますが、次の3点を考えて決めます。

  • 免税期間を長く取る:設立1期目は設立日から決算日までなので、設立月から遠い月を決算月にすると1期目が長くなり、消費税の免税期間を最大限使えます(例:7月設立なら6月決算)。
  • 繁忙期を避ける:決算日から2か月以内に申告・納税があります。売上の繁忙期や、資金が薄くなる時期と申告時期が重ならないようにします。
  • 3月決算に合わせる必要はない:3月決算は税理士業界も繁忙期で、上場企業の慣行に合わせる理由がなければ、他の月を選ぶほうが対応に余裕が生まれます。

4. 役員報酬:金額と決め方のルール

社長の給与(役員報酬)は、毎月同額を支払う「定期同額給与」にしないと法人の経費(損金)になりません。設立後3か月以内に決め、原則として事業年度の途中で変更できないため、初年度の売上見込みから逆算して決めます。

  • 役員報酬を高くすると法人税は減りますが、社長個人の所得税・住民税と社会保険料が増えます。法人と個人の税・社会保険料の合計が最も少なくなる水準を試算して決めるのが基本です。
  • 役員報酬を支払うと、社長1人の会社でも健康保険・厚生年金への加入が必要です(設立から5日以内に年金事務所へ新規適用届)。社会保険料は会社と個人で折半なので、報酬の決定は資金繰りにも直結します。
  • 報酬を0円にして社会保険に加入しない選択もありますが、個人の生活費や国民健康保険・国民年金の負担との比較が必要です。

当事務所では、法人税等と社長個人の所得税・住民税・社会保険料をあわせて計算し、役員報酬の水準を数字で比較してご提案しています。

5. 本店所在地と事業目的:あとから変えると費用がかかる

  • 本店所在地:自宅を本店にする場合は、賃貸物件なら契約上の可否(事業利用・法人登記の可否)を確認します。本店を移転すると登記の変更(登録免許税がかかります)と税務署・県税事務所・市への異動届が必要です。青葉区・都筑区・緑区に本店を置く場合、税務署は緑税務署、県税事務所は緑県税事務所、法人市民税は横浜市総務局法人課税課が窓口です。
  • 事業目的:許認可が必要な事業(建設業、飲食店、古物営業、人材紹介など)は、定款の事業目的に該当する事業が入っていないと許可申請ができません。将来行う予定の事業も含めて記載します。
  • 許認可の要件:たとえば建設業許可は、常勤役員等(経営業務の管理責任者)や営業所技術者(旧・専任技術者)、財産的基礎などの要件があり、設立直後の会社では要件を満たしにくい項目もあります。許可が必要な規模の工事(建築一式工事以外は1件500万円以上)を請ける予定がある場合は、設立前に要件を確認してください。

6. 設立後の届出と社会保険・労働保険

登記が終わったら、期限のある届出が続きます。青葉区・都筑区・緑区に本店を置く場合の窓口と期限は次のとおりです。

届出先 主な届出 期限
緑税務署(青葉区市ケ尾町22-3) 法人設立届出書、青色申告の承認申請書、給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 設立届は設立の日以後2か月以内。青色申告の承認申請は設立の日以後3か月以内(その間に第1期が終わる場合は、その終了の日の前日まで)。給与支払事務所の開設届は1か月以内
緑県税事務所(青葉区市ケ尾町27-5) 法人設立届出書 事業開始から2か月以内
横浜市総務局法人課税課(中区山下町2 産業貿易センタービル5階) 法人設立・開設届出書 設立の日から30日以内(市税条例)
港北年金事務所(港北区大豆戸町515) 健康保険・厚生年金保険 新規適用届、被保険者資格取得届 設立(適用事実の発生)から5日以内
横浜北労働基準監督署(港北区新横浜2-4-1) 労働保険 保険関係成立届、概算保険料申告書(従業員を雇う場合) 雇用した日の翌日から10日以内(概算保険料申告書は50日以内)
ハローワーク港北(港北区新横浜3-24-6) 雇用保険 適用事業所設置届、被保険者資格取得届(従業員を雇う場合) 設置の日の翌日から10日以内(資格取得届は雇用した月の翌月10日まで)

青色申告の承認申請を出し忘れると、1期目の赤字を翌期以降に繰り越せない(欠損金の繰越控除が使えない)など、実害が大きいので注意してください。源泉所得税の納期の特例(給与を支払う人数が常時10人未満の会社は年2回納付)も、設立時にまとめて申請しておくと毎月の納付事務がなくなります。

7. インボイス登録と経理体制:最初の年から決めておく

  • インボイス発行事業者の登録:取引先が事業者中心(BtoB)なら、免税期間中でも登録を求められることが多く、登録すると消費税の納税義務が生じます。個人向け(BtoC)が中心なら、免税のメリットを優先して登録しない選択もあります。登録するなら、設立初年度から登録するかどうかを取引先との契約前に決めます。
  • 会計ソフトと銀行口座:会社名義の口座を開設し、クラウド会計(当事務所はマネーフォワード クラウドに対応しています)に口座とクレジットカードを連携すれば、記帳の手間は大きく減ります。個人の口座と会社のお金を混ぜないことが、融資審査・税務調査の両面で重要です。
  • 創業融資のタイミング:日本政策金融公庫は創業前から申し込めます。横浜市の「創業おうえん資金」は会社の場合、設立予定日の2か月前(特定創業支援等事業の証明書があれば6か月前)から利用でき、事業開始後5年未満まで対象です。設立と融資を同時に進めるなら、資本金と借入額のバランスを設立前に決めておきます。詳しくは「横浜市で使える創業融資3つの比較」をご覧ください。

よくあるご質問

Q. 個人事業からの法人成りでも、この7つは同じですか?

A. 同じです。法人成りの場合は、これに加えて個人事業の廃業届、個人の資産・負債や在庫の会社への引き継ぎ(売買か賃貸か)、消費税の免税判定(個人事業の売上は新会社の基準期間には含まれません)などの論点が加わります。

Q. 資本金は多いほうが融資に有利ですか?

A. 自己資金が多いほど審査上は有利ですが、資本金1,000万円以上になると消費税の免税の面で、資本金等の額が1,000万円を超えると均等割の面で不利になります。融資に必要な自己資金の水準と、税務上の区切りである1,000万円を両にらみで決めるのが一般的です。

Q. 役員報酬をあとから変えられますか?

A. 原則として事業年度の途中では変えられません。変えられるのは、事業年度開始から3か月以内の改定と、役職の変更や経営状況の著しい悪化など一定の事由がある場合に限られます。初年度は売上見込みを慎重に置いて決めることをお勧めします。

Q. 設立の相談は、どの段階でするのがよいですか?

A. 定款を作る前です。会社の形態・資本金・決算期・役員報酬・本店・事業目的は、いずれも定款や登記の内容に関わり、設立後に変えると費用がかかります。当事務所では、設立前の設計から設立後の届出・経理体制づくりまで一貫してサポートしています(登記手続きは司法書士と連携します)。

まとめ

会社設立で損をしないためのポイントは、登記の前に「形態・資本金・決算期・役員報酬・本店と事業目的・届出と社会保険・インボイスと経理体制」の7つを決めておくことです。特に資本金1,000万円の区切り、役員報酬の決定期限(設立後3か月以内)、青色申告の承認申請期限、社会保険の加入義務は、知らずに進めると取り返しがつきにくい項目です。

独立開業の税務を全体像から確認したい方は、まず独立開業・会社設立の税務 完全ガイドをご覧ください。

出典

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本記事は、掲載時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する税務上の判断や助言を行うものではありません。制度は改正されることがありますので、実際の手続きの際は最新の情報をご確認ください。記事の内容に関するご質問や、記事の内容についてのスポットでのご相談はお受けしておりません。顧問契約をご検討の方には、初回無料の面談を行っています。本記事の内容を利用したことにより生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いません。

この記事を書いた税理士

税理士 菅原和望

菅原 和望(すがはら かずみ)税理士/菅原和望税理士事務所 代表

  • 東京地方税理士会 緑支部所属/税理士登録番号 第154708号(2024年11月登録)
  • 登録内容は日本税理士会連合会の税理士情報検索サイト(登録番号 154708 で検索)および東京地方税理士会でご確認いただけます。
  • 会計・税務の実務経験9年
  • 株式会社カプロス 代表(2015年12月設立/ダイヤモンドコア工法によるコンクリートの穿孔・切断・解体工事/施工エリア:関東・東北)
  • 不動産賃貸業(賃貸物件の経営)

1993年生まれ。横浜市青葉区市ケ尾町の菅原和望税理士事務所代表。自ら建設業の施工会社を経営し、不動産賃貸業も営む事業者としての立場もふまえ、クラウド会計(マネーフォワード クラウド)を活用した記帳・決算・確定申告までを一貫してサポートしています。

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