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大家さんが賃貸経営をやめるとき|廃業手続きと確定申告の注意点を解説

税理士の菅原和望です。今回は賃貸経営をやめるときの手続きについて、届出と最後の確定申告の注意点を整理していきます。

物件をすべて売却した場合や相続により経営から退く場合など、賃貸経営をやめる際にも一定の税務手続きが必要になります。開業時と同様に、廃業時にも複数の届出が必要となるため、事前に流れを把握しておくと安心です。

廃業時に必要な届出

個人事業の開業・廃業等届出書

すべての賃貸物件を手放し不動産所得がなくなる場合は、廃業届の提出が必要です。提出期限は、廃業した年分の確定申告期限(原則として翌年3月15日)とされています。物件の引渡し時期にあわせて準備しておくとよいでしょう。提出が遅れても罰則はありませんが、早めの対応が望ましいです。

青色申告の取りやめ届出書

青色申告の承認を受けていた場合は、取りやめ届出書もあわせて提出します(ほかの事業で青色申告を続ける場合を除きます)。提出期限は、取りやめようとする年分の確定申告期限(原則として、取りやめる年の翌年3月15日)です。賃貸をすべてやめ、ほかに事業所得などを生ずる業務もない場合、青色申告の承認はやめた年の翌年分から効力を失いますが、国税庁の案内では廃業時に提出する届出書に挙げられています。届出書に記入した年分から青色申告ができなくなるため、賃貸をやめた年分も青色申告で申告する場合は、取りやめる年分をその翌年分とします。廃業届と同時に提出しておくと手続きの漏れを防ぎやすくなります。

廃業年分の確定申告の注意点

未収家賃・未払費用の精算

廃業年においても、発生した収入・費用は適切に確定申告に反映させる必要があります。退去精算に伴う原状回復費用の負担や敷金の精算なども、廃業年の収支に含めて計上する必要があります。入居者ごとの精算内容を一覧化しておくと、確認漏れを防げます。

資産の除却・売却損益の計上

設備等を除却した場合の除却損や、物件売却に伴う譲渡所得の計算も忘れずに行います。未償却残高が残っている設備を廃棄した場合は、その残存簿価を除却損として計上できる場合があります。設備の一覧と減価償却の状況をあらかじめ整理しておくとスムーズです。

廃業後に注意したい点

消費税の届出

課税事業者であった場合は、賃貸経営をやめた年についても、消費税の確定申告が必要です。あわせて、事業を廃止したことを「事業廃止届出書」で税務署に届け出ます(ほかに消費税のかかる売上が残る場合を除きます)。簡易課税制度を選択していた場合は、その適用関係についてもあわせて確認しておくことをおすすめします。

帳簿書類の保存義務

廃業後も一定期間、帳簿や証憑書類を保存する義務があるため、破棄せず保管しておく必要があります。保存期間は書類の種類によって異なるため、税理士に確認しながら整理しておくと安心です。特に確定申告関係の書類は7年間の保存が必要とされる場合があるため、廃業後も油断せず管理することが大切です。

青葉区・都筑区で賃貸経営をやめる方へ

建替えや売却を機に区切りをつけるケース

青葉区・都筑区では、建物の老朽化や相続を機に、賃貸経営を終える判断をされる方もいらっしゃいます。

やめる時期を決める前のご相談が有効な理由

新規物件の購入、大規模修繕、法人化の検討など、資金や税負担への影響が大きい意思決定の前に相談いただくことで、選択肢を踏まえた判断がしやすくなります。

廃業手続きについてよくいただくご相談

最終年分の資料を整えるポイント

最終年は精算に関する書類が短期間に集中するため、届出の控えまで含めて一か所に集めておくと確認が早くなります。未収の家賃や未払いの費用は、金額と相手先をメモに残しておくと後の整理に役立ちます。

不動産会社・解体業者との段取りの共有

売却や解体の段取りは不動産会社と工務店、借入の完済手続きは金融機関、届出と最終年の申告は税理士が担います。廃業の時期によって手続きの順序が変わるため、日程を決める前に相談しておくと進めやすくなります。

まとめ

賃貸経営をやめる際も、開業時と同様にいくつかの届出や確定申告上の対応が必要です。手続き漏れがないよう、早めに税理士へご相談ください。特に物件売却と廃業のタイミングが重なる場合は、譲渡所得の計算と廃業手続きをあわせて整理しておくことが重要です。

物件売却時の税務は「大家さんの物件売却・買い替え、譲渡所得の税務上の注意点を解説」もあわせてご覧ください。

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よくある質問

Q. 1棟だけ売却した場合も廃業届は必要ですか?

A. 他に賃貸物件が残っている場合は不動産所得が継続するため、廃業届の提出は不要です。ただし所得の減少に伴い、予定納税額の見直しが必要になる場合があります。

Q. 廃業後に修繕費の請求が来た場合はどうなりますか?

A. 廃業後であっても賃貸経営期間に対応する費用であれば、必要経費として計上できる場合があります。請求のタイミングだけでなく、費用が発生した期間を基準に判断する点に注意が必要です。

Q. 廃業のタイミングはいつがよいですか?

A. 物件の引渡し時期や契約終了のタイミングに合わせて検討するのが一般的です。減価償却や消費税の取扱いも踏まえ、年内か年をまたぐかで判断が変わる場合があるため、事前にご相談いただくことをおすすめします。

Q. 廃業の手続きを税理士に依頼できますか?

A. 可能です。廃業届の作成から確定申告まで一括してサポートいたします。青色申告の取りやめ届出書など、関連する届出もあわせて漏れなく対応いたします。ご不明な点はお気軽にご相談ください。

Q. 廃業した後も帳簿を残しておく必要がありますか?

A. 一定期間の保存が必要になります。保存すべき書類の範囲と期間をご説明し、整理の方法まであわせてご案内します。

大家さんの税務・会計に関する関連記事

大家さんの税務を全体像から確認したい方は、まず大家さん・不動産オーナーの税務 完全ガイドをご覧ください。個別のテーマは以下の記事で解説しています。

個人事業の廃業届の詳細は国税庁の情報もご確認ください:国税庁公式サイト

 

免責事項

本記事は、掲載時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する税務上の判断や助言を行うものではありません。制度は改正されることがありますので、実際の手続きの際は最新の情報をご確認ください。記事の内容に関するご質問や、記事の内容についてのスポットでのご相談はお受けしておりません。顧問契約をご検討の方には、初回無料の面談を行っています。本記事の内容を利用したことにより生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いません。

この記事を書いた税理士

税理士 菅原和望

菅原 和望(すがはら かずみ)税理士/菅原和望税理士事務所 代表

  • 東京地方税理士会 緑支部所属/税理士登録番号 第154708号(2024年11月登録)
  • 登録内容は日本税理士会連合会の税理士情報検索サイト(登録番号 154708 で検索)および東京地方税理士会でご確認いただけます。
  • 会計・税務の実務経験9年
  • 株式会社カプロス 代表(2015年12月設立/ダイヤモンドコア工法によるコンクリートの穿孔・切断・解体工事/施工エリア:関東・東北)
  • 不動産賃貸業(賃貸物件の経営)

1993年生まれ。横浜市青葉区市ケ尾町の菅原和望税理士事務所代表。自ら建設業の施工会社を経営し、不動産賃貸業も営む事業者としての立場もふまえ、クラウド会計(マネーフォワード クラウド)を活用した記帳・決算・確定申告までを一貫してサポートしています。

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