令和8年度税制改正では、住宅ローン控除の延長・拡充が行われます。マイホームの取得や住み替えを検討している方に関わる改正です。特に令和8年以降に住宅を取得する方は、令和7年までの制度と比べて借入限度額や控除率がどのように変わるのかを事前に把握しておくことが、資金計画を立てるうえでも重要になります。控除期間は原則13年間と長期にわたるため、将来の家計の見通しを立てる際の材料としても活用できます。本記事では、横浜市青葉区の菅原和望税理士事務所が、住宅ローン控除の延長・拡充の内容と実務上の注意点をわかりやすく解説します。住宅ローン控除は数百万円単位の税負担軽減につながることもある制度のため、購入タイミングや住宅の性能によって適用条件がどう変わるかを理解しておくことが大切です。住宅の購入は人生で最も大きな買い物の一つであるため、税制優遇の内容を踏まえた資金計画を立てることが、無理のない住宅取得につながります。住宅ローンは数十年単位で返済が続くことが一般的であるため、控除額だけでなく金利タイプや返済期間なども含めて総合的に比較検討することが望ましいといえます。
住宅ローン控除の延長・拡充の概要と借入限度額の区分
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除、いわゆる住宅ローン控除については、適用期限が5年間延長されるとともに、既存住宅に係る借入限度額の拡充などの見直しが行われました。若年層や子育て世帯を対象とした「特例対象個人」(年齢40歳未満で配偶者を有する者、年齢40歳以上で40歳未満の配偶者を有する者、または19歳未満の扶養親族を有する者)については、認定住宅で借入限度額5,000万円、ZEH水準省エネ住宅で4,500万円、省エネ基準適合住宅で3,000万円(いずれも控除率0.7%、控除期間13年)という手厚い限度額が設定されています。特例対象個人以外の方が既存住宅を取得する場合は、認定住宅・ZEH水準省エネ住宅で3,500万円、省エネ基準適合住宅で2,000万円が借入限度額となります。特例対象個人と特例対象個人以外とで借入限度額に差が設けられているのは、子育て世帯や若年層の住宅取得を後押しする政策的な狙いがあるためであり、ご自身がどちらの区分に該当するかによって利用できる控除額が大きく変わる点は特に注意が必要です。あわせて、耐震改修・特定改修工事・認定住宅等の新築等をした場合の特別控除についても延長・見直しが行われています。これらの改修系の特例は住宅ローンを利用しない場合でも適用できることがあるため、リフォームを検討している方も対象になるかどうか確認しておく価値があります。特に耐震改修や省エネ改修は、工事の内容や費用によって適用できる特例が異なるため、リフォーム会社と相談する際に税制上の優遇措置も含めて計画を立てるとよいでしょう。なお、令和6年以前に建築確認を受けた住宅や、既存住宅として取得する住宅については、借入限度額の取り扱いが異なる場合があるため、住宅の取得時期や種類によって適用される基準を個別に確認することが重要です。
住宅ローン控除の延長・拡充が住宅購入計画に与える影響
マイホームの取得や住み替えを検討されている方は、確定申告での適用に備えて要件を確認しておくとよいでしょう。特に特例対象個人に該当するかどうかで借入限度額が大きく変わるため、ご自身やご家族の年齢・扶養状況を踏まえて、どの区分に当てはまるかを事前に確認しておくことをお勧めします。住宅事業者から提示される資金計画書には住宅ローン控除の見込み額が記載されていないことも多いため、ご自身でも概算の控除額を把握しておくと、資金計画の精度が高まります。控除額の概算を把握する際は、借入金額・借入期間・金利タイプに加えて、住宅の性能区分によって上限額が変わることも踏まえたうえで、複数のパターンを比較しておくと安心です。所得控除全般については所得控除の種類と控除額をまとめた記事もご参照ください。また、住宅ローン控除は所得税から控除しきれない金額がある場合、一定の範囲で住民税からも控除される仕組みになっているため、ご自身の所得税額が少ない場合でも控除の効果を確認しておくとよいでしょう。
住宅ローン控除の延長・拡充に関するよくある質問
Q. 住宅ローン控除を受けるには確定申告が必要ですか?
A. 給与所得者の場合、住宅ローン控除の適用を受ける最初の年は原則として確定申告が必要です。2年目以降は年末調整で控除を受けられるケースが一般的ですが、勤務先への必要書類の提出が必要になります。初年度の確定申告では、住宅借入金等特別控除額の計算明細書や住民票の写し、金融機関の年末残高等証明書など複数の添付書類が必要になるため、余裕を持って準備しておきましょう。マイナンバーカードを利用したe-Taxでの申告であれば、一部の書類の添付を省略できる場合もあるため、あわせて確認しておくと手続きの負担を減らせます。なお、年末調整で住宅ローン控除の適用を受ける際は、金融機関から送付される年末残高等証明書の内容を勤務先に提出する必要があるため、証明書を受け取ったら早めに保管し、提出漏れがないよう注意しましょう。
Q. 住み替えの場合も住宅ローン控除は使えますか?
A. 買い替えによる住み替えの場合も、要件を満たせば住宅ローン控除の適用を受けられる可能性があります。ただし、以前の住宅の譲渡について特例を利用する場合など、他の制度との併用可否に注意が必要なケースがありますので、事前の確認をおすすめします。特に、譲渡損失が生じた場合の繰越控除の特例と住宅ローン控除は、それぞれ適用要件が異なるため、どちらを優先して使うべきか個別に検討する必要があります。売却のタイミングと新居の購入・入居のタイミングが年をまたぐ場合は、それぞれの特例の適用年数の数え方にも注意が必要です。住み替えにあたって新居の取得を先行させる場合と、旧居の売却を先行させる場合とでは、利用できる特例の組み合わせが変わることもあるため、具体的な取引の順序が決まった段階で税理士に相談することをお勧めします。
まとめ
住宅ローン控除の延長・拡充は、住宅取得を検討する多くの方に関係する改正です。特に借入限度額や控除率は住宅の性能(認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅)によって細かく分かれているため、購入予定の住宅がどの区分に該当するかを住宅事業者に確認しておくことをお勧めします。省エネ性能の低い住宅は令和8年以降、借入限度額の対象から外れる可能性もあるため、契約前に最新の制度内容を確認することが大切です。特に「その他の住宅」に区分される省エネ基準を満たさない新築住宅は、原則として住宅ローン控除の対象外となるため、契約前に建築事業者へ省エネ性能の区分を必ず確認しておきましょう。新築だけでなく中古住宅の取得を検討している方も、耐震性能や省エネ性能によって適用される借入限度額が異なるため、物件選びの段階から税制優遇の内容もあわせて考慮するとよいでしょう。特に住宅ローンの借入額や返済期間を検討する初期段階から、住宅ローン控除による税負担軽減効果を織り込んでおくことで、より実態に近い資金計画を立てることができます。令和8年度税制改正の全体像は令和8年度税制改正まとめのページでご覧いただけます。改正の詳細は国税庁の公式サイトでも随時公表されますので、あわせてご確認ください。
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