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防衛特別所得税の創設|令和8年度税制改正のポイントを税理士が解説

令和8年度税制改正で、防衛特別所得税が新たに創設されました(令和9年1月から課税)。本記事では、横浜市青葉区の菅原和望税理士事務所が、防衛特別所得税の創設の概要と課税対象と今後確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。防衛特別所得税は、既存の所得税に付加する形で課される新たな税であり、名称に「所得税」とあるとおり、所得税の枠組みを利用して徴収される点が特徴です。新たに全く別の申告手続きが設けられるわけではなく、既存の所得税制度の中に組み込まれる形で運用される点は、納税者にとって理解しやすい設計といえます。防衛力強化に係る財源確保のための税制措置は、防衛特別所得税のほか、法人税(防衛特別法人税)やたばこ税の分野でも別途措置が講じられており、所得税だけでなく複数の税目にわたる財源確保策の一部として位置づけられています。防衛特別所得税は、令和5年度税制改正の大綱(令和4年12月)で方針が示され、令和8年度税制改正で法制化されました。防衛特別所得税に関する政令は令和8年3月31日に公布され、国税庁からも源泉徴収のあらましやQ&A、令和9年分の源泉徴収税額表が公表されています。今後公表される申告書の様式などの情報も確認しておくことが大切です。

防衛特別所得税の創設の概要

防衛力強化に係る財源確保のための税制措置として、防衛特別所得税が創設されました。個人については、居住者又は非居住者に対して課される令和9年分以後の各年分の所得税に係る基準所得税額について、当分の間、防衛特別所得税が課されます。法人については、内国法人又は外国法人に対して課される令和9年1月1日以後に生ずる所得に対する所得税(利子・配当等に係るもの)に係る基準所得税額について、同様に当分の間、防衛特別所得税が課される仕組みです。「基準所得税額」は、外国税額控除等を適用しない場合の所得税額を基礎とし、附帯税の額を除いて計算されます。附帯税とは延滞税や無申告加算税など、本来の税額に付随して課される税を指すため、基準所得税額はあくまで本来の所得税本体の金額をもとに算出される点を理解しておくとよいでしょう。具体的には、非永住者以外の居住者は全ての所得に対する所得税の額、非永住者は国外源泉所得以外の所得等に対する所得税の額、非居住者は国内源泉所得に対する所得税の額を基礎とするなど、納税義務者の区分に応じて基準となる所得税額の範囲が定められています。内国法人は利子等及び配当等などに対する所得税の額、外国法人は国内源泉所得のうち利子等及び配当等などに対する所得税の額が基礎となるなど、法人についても区分に応じた取り扱いが設けられています。なお、防衛特別所得税の額は、基準所得税額に1%の税率を乗じて計算し、所得税と併せて申告・納付します。同時に復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられるため、所得税に上乗せされる税率の合計は2.1%のまま変わりません。一方、復興特別所得税の課税期間は、令和19年までから令和29年までに10年間延長されました。

防衛特別所得税は所得税の申告・納付とあわせて手続きする仕組みのため、会社員の方は源泉徴収と年末調整で、個人事業主の方は毎年の確定申告の中で対応します。確定申告のご依頼は確定申告のページから、令和8年分の変更点は令和8年分の確定申告・年末調整はここが変わるにまとめています。

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防衛特別所得税の創設が源泉徴収・年末調整の実務に与える影響

防衛特別所得税は、本来の所得税の申告・納付・還付の手続きにあわせて行われる仕組みとなっており、所得税の確定申告書を提出する場合は、その申告期限までに防衛特別所得税を所得税に併せて納付することとされています。新たな税目でありながら、申告や納付の窓口・期限は既存の所得税の枠組みをそのまま利用するため、納税者にとっては手続き自体が大幅に複雑化するわけではない点は安心材料といえます。控除しきれない源泉徴収特別税額等がある場合は、防衛特別所得税を所得税に併せて還付する取り扱いも定められています。このように、申告・納付・還付のいずれの手続きも、本来の所得税の手続きと一体で行う設計になっているため、事業者側で新たに別の申告書を用意したり、別の窓口で手続きを行ったりする必要は基本的にありません。既存の所得税の手続きの流れの中に防衛特別所得税の計算が組み込まれる形であるため、これまでの確定申告や年末調整の経験を活かしながら対応できる点も特徴の一つです。ただし、確定申告書を作成する際に防衛特別所得税の記載欄を見落とさないよう注意が必要です。特に令和9年分以降、初めて防衛特別所得税の記載が必要になる年は、例年の確定申告書とフォーマットが変わる可能性もあるため、国税庁が公表する最新の申告書様式を確認しながら作成することをお勧めします。給与所得者・個人事業主ともに、最新情報の確認が必要です。特に源泉徴収義務者である事業主の方は、給与計算システムやソフトウェアが令和9年分の源泉徴収税額表に対応しているかどうかも、令和9年に向けて確認しておくとよいでしょう。特に複数の事業所を持つ法人や、給与計算を外部に委託している事業者は、委託先のシステム対応状況についても早めに確認しておくと、令和9年の実務開始に向けて安心です。

防衛特別所得税の創設に関するよくある質問

Q. 防衛特別所得税はいつから課税されますか?
A. 個人については令和9年分以後の所得税から、法人については令和9年1月1日以後に生ずる所得に対する所得税から、それぞれ課税が開始されます(個人・法人とも、実質的には令和9年1月1日以後の所得に対する所得税から対象になります)。税率は基準所得税額の1%と法律で定められています。同時に、復興特別所得税の税率が2.1%から1.1%に引き下げられるため、合計の税率(2.1%)は変わりません。なお、復興特別所得税の課税期間は令和29年まで10年間延長されました。国税庁からは、源泉徴収のあらましやQ&Aが公表されています。

Q. 給与所得者にも影響がありますか?
A. あります。防衛特別所得税は所得税額に対して課されるため、給与所得者・個人事業主を問わず、所得税を納める方が幅広く対象になります。所得税の源泉徴収をすべき者は、源泉徴収税額に係る防衛特別所得税を併せて徴収し、法定納期限までに国に納付する取り扱いとなっており、所得税の年末調整をする事業者は、所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の合計額で年末調整を行うこととされています。このため、担当者の方は例年の年末調整業務のスケジュールに沿って準備を進めることができます。給与の源泉徴収は、令和9年分以後の源泉徴収税額表を使って、所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税の合計額で行います(報酬・料金などは、所得税率×102.1%の合計税率で計算します)。合計の税率は改正前と変わらないため、源泉徴収税額の計算方法に変更はありません。ただし、令和9年1月以後は基礎控除の引上げ等に伴って源泉徴収税額表が改正されているため、給与計算ソフトが令和9年分の税額表に対応しているかは早めに確認しておくことが望ましいでしょう。パートやアルバイトの方であっても、給与から所得税が源泉徴収される場合は、同様に防衛特別所得税の対象となります。

まとめ

防衛特別所得税の創設は、防衛力強化のための財源確保を目的とした「当分の間の措置」として、既に法律上の枠組みが整備されている税制です。適用開始時期や基本的な仕組みは明らかになっているものの、実務上の細かい取り扱いについては今後も情報が更新される可能性があるため、継続して確認していくことが大切です。税率(1%)や計算方法は法律・政令で定められており、国税庁から源泉徴収のあらましやQ&A、令和9年分の源泉徴収税額表が公表されています。今後公表される確定申告書の様式などの情報もあわせて確認しておくことをお勧めします。給与計算や確定申告の実務に直接関わる内容であるため、令和9年分の申告に向けて余裕を持って準備を進めておくことをおすすめします。特に給与計算や確定申告のシステムを利用している事業者・個人の方は、ソフトウェアのアップデート状況を早めに確認し、令和9年分の実務に備えておくことをお勧めします。令和8年度税制改正の全体像は令和8年度税制改正まとめのページでご覧いただけます。最新情報は国税庁の公式サイトでも随時公表されますので、あわせてご確認ください。

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本記事は、掲載時点の法令等に基づく一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案に対する税務上の判断や助言を行うものではありません。制度は改正されることがありますので、実際の手続きの際は最新の情報をご確認ください。記事の内容に関するご質問や、記事の内容についてのスポットでのご相談はお受けしておりません。顧問契約をご検討の方には、初回無料の面談を行っています。本記事の内容を利用したことにより生じた損害について、当事務所は一切の責任を負いません。

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