令和8年度税制改正では、NISAのつみたて投資枠の拡充が行われます。次世代の資産形成を検討している方に関わる改正です。特にお子さまやお孫さまの将来に向けた資産形成を考えているご家庭にとっては、選択肢が広がる内容といえます。祖父母の方が孫のためにNISA口座を活用した資産形成を検討するケースも今後増えていくことが予想されます。
本記事では、横浜市青葉区の菅原和望税理士事務所が、NISAつみたて投資枠の拡充の内容と実務上のポイントをわかりやすく解説します。NISA制度はここ数年で年間投資枠や非課税保有期間などの見直しが続いており、今回の対象年齢の拡充もその流れの一つと位置づけられます。制度の詳細は今後も見直される可能性があるため、実際に口座開設や投資を行う際は、その時点での最新の制度内容を金融機関等で確認することをお勧めします。教育資金の準備方法として保険や預金と並ぶ選択肢としても注目されており、今回の改正を機に検討を始めるご家庭も増えると考えられます。また、NISA制度による資産形成はあくまで長期的な取り組みであるため、短期間で大きな利益を得ることを目的とした投資とは性質が異なる点を理解したうえで活用することが望ましいといえます。
NISAつみたて投資枠の拡充の概要と対象年齢の変更
改正前のNISA制度は、非課税口座に係る特定累積投資勘定(つみたて投資枠)及び特定非課税管理勘定(成長投資枠)で取得した上場株式等について、その配当等や譲渡益を非課税とする仕組みで、対象者は18歳以上(口座開設の年の1月1日現在)の居住者等に限られていました。今回の改正では、次世代の資産形成を支援する観点から、NISA制度のつみたて投資枠について、対象年齢を0歳まで拡充するなどの見直しが行われました。これまでは大学進学など教育資金がまとまって必要になる時期まで、税制優遇のある形での資産形成の選択肢が限られていましたが、今回の改正によって出生直後から長期的な積立を始められるようになりました。従来は成人年齢に達してからでなければつみたて投資枠を新たに利用できなかったため、今回の見直しは資産形成を始められる時期を大きく前倒しする改正といえます。あわせて、暗号資産取引に係る課税の見直しや、総合課税の対象となる社債利子の範囲の整備なども行われています。これらはNISAの対象年齢拡充とは別の改正項目ですが、いずれも個人の資産運用に関わる制度として同時期に見直しが行われている点は押さえておきたいポイントです。これにより、生まれたばかりのお子さまの名義でも、つみたて投資枠を活用した長期的な資産形成を始められるようになった点が今回の改正の大きなポイントです。運用期間が長くなるほど複利効果を活かしやすくなるため、早い時期から投資を始められることは資産形成の観点でもメリットがあります。特に18年・20年といった長期間の運用を前提とすると、市場の短期的な変動に一喜一憂せず、じっくりと資産形成に取り組みやすくなる点も見逃せません。なお、対象年齢が0歳まで拡充されたことにより、出生届の提出後、比較的早い時期からつみたて投資枠を活用した資産形成の検討が可能になりますが、実際の口座開設には金融機関ごとの審査や必要書類の準備に一定の時間がかかる場合があるため、余裕を持って準備を進めることをお勧めします。
NISAつみたて投資枠の拡充が資産形成の選択肢に与える影響
子どもの将来のための資産形成の選択肢が広がる改正であり、家族名義の資産形成を検討する際の選択肢の一つとなります。ただし、口座の管理は原則として親権者などの法定代理人が行うことになるため、実際の運用方針や将来的な資金の使い道についても、家族内であらかじめ話し合っておくことが望ましいでしょう。特に祖父母から孫への資金援助を兼ねてNISA口座への積立を検討する場合は、贈与税の取り扱いについても確認しておくと安心です。お子さまが成人した後は口座の管理をどのタイミングで引き継ぐかも、あらかじめ検討しておくとよいポイントです。積立を始めるタイミングが早いほど長期の運用期間を確保できるため、教育資金の準備計画の一部として位置づけることも一つの考え方です。積立額を検討する際は、教育資金だけを目的にするのではなく、ご家庭全体の生活資金や将来の支出予定とのバランスも考慮しながら、無理のない金額を設定することが大切です。教育資金の準備方法としては、学資保険や預金による積立など従来からの方法もあるため、NISAによる運用リスクも踏まえたうえで、複数の方法を組み合わせて準備することも検討に値します。
NISAつみたて投資枠の拡充に関するよくある質問
Q. 子ども名義でNISA口座を開設できますか?
A. 対象年齢の拡充にあわせて、これまでよりも幅広い年齢の方がNISA制度を利用しやすくなる見込みです。未成年の口座については、口座開設時に戸籍謄本など親子関係を確認できる書類の提出を求められることが一般的です。金融機関によって取扱いの詳細や必要書類が異なるため、複数の金融機関を比較したうえで口座開設先を選ぶことをお勧めします。実際の口座開設には金融機関ごとの取扱いや必要書類がありますので、詳細は口座を開設する金融機関にご確認ください。また、未成年者本人ではなく法定代理人が実際の取引を行う運用となるため、将来的にお子さま自身が資産形成の考え方を学ぶ機会として、家庭内で投資の目的や方針を共有しておくこともおすすめです。
Q. NISAの運用益には税金がかかりますか?
A. NISA制度の非課税枠内で得られた運用益(配当金・分配金・譲渡益など)には、原則として所得税・住民税がかかりません。この非課税措置は、特定累積投資勘定(つみたて投資枠)と特定非課税管理勘定(成長投資枠)のいずれで取得した上場株式等についても適用される点が特徴です。つみたて投資枠は主に投資信託などを長期・積立・分散で購入する目的に適した設計となっており、成長投資枠は上場株式など比較的幅広い商品を対象としている点で役割が異なります。両方の枠を併用することもできるため、目的に応じて使い分けている方も多くいらっしゃいます。非課税枠を超える投資や課税口座での運用益には通常どおり課税されますのでご注意ください。なお、非課税措置の対象となる投資枠には年間投資枠と非課税保有限度額の両方の上限が設けられているため、口座を開設した金融機関で最新の上限額を確認しながら計画的に積立を行うことが大切です。
まとめ
NISAつみたて投資枠の拡充は、子育て世帯の資産形成に関わる改正です。教育資金や将来の生活資金など、長期的な視点での資産形成を検討する際の選択肢の一つとして活用できます。なお、NISA制度はあくまで投資であるため、預金とは異なり元本が保証されているわけではない点にも留意し、ご家庭の資金計画やリスク許容度に応じて活用を検討することが大切です。制度の仕組みを正しく理解したうえで、無理のない範囲での積立を継続することが、長期的な資産形成の基本となります。特にご家族で資産形成の方針を共有し、無理のない金額から積立を始めることが、将来にわたって制度を活用し続けるための鍵となります。令和8年度税制改正の全体像は令和8年度税制改正まとめのページでご覧いただけます。制度の詳細は金融庁の公式サイトでも随時公表されますので、あわせてご確認ください。
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