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個人住民税・固定資産税の改正|令和8年度税制改正のポイントを税理士が解説

令和8年度税制改正では、個人住民税や固定資産税など地方税についても改正が行われました(地方税法等の一部を改正する法律は令和8年3月31日に公布)。所得税の改正と地方税の改正は多くの部分で連動しているため、片方だけを確認していると見落としが生じやすい点に注意が必要です。特にニュースなどで「税制改正」として取り上げられる内容の多くは所得税に関するものであり、住民税への影響が見落とされがちな点にも注意が必要です。特に扶養控除や配偶者控除などは、所得税と住民税で控除額が異なり、所得要件の改正が反映される時期もずれるため、それぞれ別の基準で確認する意識を持つことが大切です。本記事では、横浜市青葉区の菅原和望税理士事務所が、個人住民税・固定資産税の改正の内容と実務上のポイントをわかりやすく解説します。住民税は年末調整や確定申告の情報をもとに自治体が計算するため、納税者自身が個別に申告書を作成する機会は少ないものの、控除の仕組みを理解しておくことは将来の税負担を見積もるうえで役立ちます。会社を通じて年末調整を行っている方は、住民税の計算過程を意識する機会が少ないかもしれませんが、仕組みを理解しておくことで、将来の家計計画や資産形成の判断材料としても活用できます。毎年5〜6月頃に送付される住民税の税額決定通知書を確認することで、実際にどの控除がどの程度適用されているかを把握できます。特に転職や退職などで収入が大きく変わった年は、翌年度の住民税額も大きく変動するため、税額決定通知書の内容を丁寧に確認しておくことをお勧めします。

個人住民税・固定資産税の改正の概要と主な改正項目

所得税の給与所得控除等の見直しに連動する形で、個人住民税についても物価上昇局面に対応した改正が行われています。給与所得控除の最低保障額の引上げ(65万円から69万円へ。令和9年度分・令和10年度分は74万円)と、同一生計配偶者・扶養親族の合計所得金額要件の引上げ(58万円以下から62万円以下へ)が令和9年度分の個人住民税から適用されるほか、ひとり親控除の引上げ(30万円から33万円へ。令和10年度分から)、ふるさと納税制度の見直し、新築住宅・再生可能エネルギー発電設備等に係る固定資産税の特例措置の見直しも行われています。なお、個人住民税の基礎控除(43万円)と、均等割・所得割の非課税基準は、今回の改正では変更されていません。個人住民税は前年の所得を基準に翌年度課税される仕組みのため、所得税の改正が実際に住民税額に反映されるタイミングは、所得税よりも遅れる点にも注意が必要です。会社員の方であれば、住民税は毎月の給与から特別徴収される形で納付されるのが一般的で、6月に新しい年度の税額に切り替わるため、この時期の給与明細で税額の変化を確認しやすくなっています。所得税の控除が引き上げられたからといって、その年の住民税がすぐに軽減されるわけではないため、家計への影響を見積もる際はタイムラグを踏まえて考える必要があります。なお、給与所得控除や扶養親族の合計所得金額要件は所得税と住民税で共通して見直されることが多いものの、控除額そのものの水準は所得税と住民税で異なる場合があるため、それぞれ別に確認することが大切です。

個人住民税・固定資産税の改正が家計・不動産所有者の実務に与える影響

固定資産税については、新築住宅の税額を一定期間軽減する特例や、太陽光発電設備など再生可能エネルギー発電設備に対する特例措置についても、期限の延長や要件の見直しが行われています。新築住宅の特例は、一般の住宅で3年間、認定長期優良住宅など一定の住宅で5年間にわたって固定資産税額が軽減される仕組みが基本となっており、マンション等の中高層住宅ではさらに軽減期間が長く設定される場合もあります。今回の改正では、この軽減措置の適用期限が令和13年3月31日までの新築分に5年延長されました。あわせて、令和8年4月1日以後に新築された住宅から、床面積の要件が「50㎡以上280㎡以下」から原則「40㎡以上240㎡以下」に改められました。また、令和11年4月1日以後に新築される住宅のうち、土砂災害特別警戒区域などの災害の危険性が高い区域内のものは対象外となります(建替えなどを除きます)。新築住宅を購入予定の方は、軽減措置の適用期間が終了した後に税額がどの程度増えるのかも事前に把握しておくと、住宅取得後の資金計画が立てやすくなります。軽減期間が終了すると固定資産税額が本来の水準に戻るため、住宅取得直後の税負担の感覚のまま将来の資金計画を立ててしまうと、想定より税負担が増えて感じられることもある点に留意が必要です。再生可能エネルギー発電設備の特例は事業者が取得する設備を対象とするもので、適用期限が令和11年3月31日まで3年延長されました。ただし、令和8年4月1日以後に取得する太陽光発電設備については、対象がペロブスカイト太陽電池を使用した一定の設備に限定されており、一般的な太陽光パネルは対象になりません。ふるさと納税の控除上限や活用方法についてはふるさと納税に関する解説記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。

個人住民税・固定資産税の改正に関するよくある質問

Q. 住民税が非課税になる収入のラインは変わりますか?
A. 均等割の非課税基準(合計所得金額の基準)そのものは、令和8年度税制改正では変更されていません。ただし、給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円(令和9年度分・令和10年度分の金額で、本則は69万円)に引き上げられるため、給与収入でみた非課税のラインは上がります。たとえば横浜市で、同一生計配偶者や扶養親族がおらず、障害者・未成年者・寡婦・ひとり親にも該当しない方の場合、令和8年中の収入が給与のみであれば、令和9年度分の住民税が非課税となるのは給与収入119万円以下(令和8年度分は110万円以下)の場合です。均等割は所得割と異なり定額で課される税金であるため、非課税となるかどうかは、所得の低い方にとって特に影響の大きい点です。所得割は所得金額に応じて税額が変動する一方、均等割は所得の多寡にかかわらず一定額が課されるため、両者の違いを理解しておくと住民税の仕組み全体を把握しやすくなります。住民税の非課税基準は、生活保護基準額などを踏まえてお住まいの自治体の級地区分に応じて基準額が定められているため、同じ所得であっても居住地によって非課税となるかどうかの判定が異なる場合があります。転居を予定している方は、転居先の級地区分によって非課税基準が変わる可能性がある点も、あわせて確認しておくとよいでしょう。自治体によっては非課税基準額を独自に定めている場合もあるため、正確な基準額はお住まいの自治体の窓口やホームページで確認することをお勧めします。

Q. ふるさと納税の控除上限額にも影響がありますか?
A. ふるさと納税の控除上限額は住民税所得割額をもとに計算されるため、給与所得控除の見直しなどによって、控除上限額の目安が変わる可能性があります。また、今回の改正で、ふるさと納税の特例控除額に193万円(道府県民税と市町村民税の合計)の上限が新たに設けられ、令和9年中の寄附(令和10年度分の個人住民税)から適用されます。総務省の資料では「193万円(給与収入1億円相当)」と説明されており、寄附額そのものに上限はありません。寄附を検討する際は最新の目安額を確認することが大切です。給与収入だけでなく、副業所得や不動産所得など他の所得がある方は、それらを合算した総所得金額をもとに上限額が計算されるため、シミュレーションの際は全ての所得を正確に反映させることが重要です。年の途中で転職や退職をした場合など、収入に変動があった年は、簡易な計算ツールでの見積もりが実際の上限額と大きくずれることもあるため、年末が近づいたら最新の所得状況をもとに再計算することをお勧めします。特に年末にまとめて寄附を行う予定の方は、その年の所得が確定してから控除上限額を計算しないと、上限を超えて寄附してしまい自己負担が増えることがあるため注意しましょう。ふるさと納税を活用する際は、寄附先の自治体数が多くなるとワンストップ特例の対象外となり確定申告が必要になる場合もあるため、寄附件数が多い方は申告方法もあわせて確認しておくとよいでしょう。

まとめ

個人住民税・固定資産税の改正は、所得税の改正と連動して多くの方に影響します。住民税は前年の所得を基準に課税されるため、給与所得控除の最低保障額や扶養親族等の合計所得金額要件の引上げが住民税に反映されるのは令和9年度分からとなります。一方、所得税で引き上げられた基礎控除は、個人住民税では43万円のまま変更されていません。所得税と住民税では、改正の内容も適用開始年度も異なる点に留意しておく必要があります。所得税と住民税で異なる基準や適用時期を混同してしまうと、家計や資金計画の見通しにずれが生じることもあるため、それぞれの制度を分けて理解しておくことが大切です。特に住宅の購入や転職などライフイベントが多い年は、所得税と住民税の両方で例年と異なる取扱いが生じやすいため、変化があった年は特に丁寧に確認することをお勧めします。令和8年度税制改正の全体像は令和8年度税制改正まとめのページでご覧いただけます。改正の詳細は総務省の公式サイトでも公表されていますので、あわせてご確認ください。

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