令和8年度税制改正では、中小企業者等の少額減価償却資産の特例の見直しが行われます。この特例は決算対策として長年活用されてきた制度であり、期限が近づくたびに延長や見直しが議論される、実務上の注目度が高い改正項目のひとつです。適用期限が近づくと延長の有無が話題になることも多いため、毎年の税制改正の動向を確認しておくことをお勧めします。本記事では、横浜市青葉区の菅原和望税理士事務所が、少額減価償却資産の特例の見直しの内容と実務上の注意点をわかりやすく解説します。この特例を上手に活用できるかどうかで、決算期の税負担が変わってくることもあるため、制度の仕組みを正しく理解しておくことが大切です。特に業績が好調な決算期には積極的な活用を検討し、業績が厳しい決算期には無理に設備投資を行わないなど、その年の経営状況に応じた使い分けも重要な視点です。特に決算月の直前に慌てて設備投資を検討すると、取得価額の判定や上限額の管理を誤ってしまうこともあるため、年間の設備投資計画は早めに立てておくことをお勧めします。中小企業にとっては数少ない即時償却の選択肢であるため、制度の存続や見直し内容は毎年の決算対策を検討するうえで重要な情報源となっています。特に法人・個人事業主を問わず活用できる制度であるため、事業形態にかかわらず幅広い方が対象となる点も特徴の一つです。
少額減価償却資産の特例の見直しの概要と制度の基本
少額減価償却資産の特例は、青色申告書を提出する中小企業者等が、取得価額40万円未満の減価償却資産を取得した場合に、その取得価額の全額を事業年度において一括で必要経費・損金に算入できる制度で、年間の適用上限額は300万円と定められています。通常の減価償却であれば耐用年数に応じて数年かけて経費化する資産を、取得した年に一括で経費化できる点が、この特例の最大の特徴です。たとえば耐用年数6年の資産であれば、通常は6年かけて少しずつ経費化するところを、この特例を使えば取得した年に全額を経費化できるため、その年の税負担を大きく軽減できる可能性があります。今回の改正は、こうした税制上の基準額を物価動向や制度全体の整合性の観点から点検し、必要な見直しを行うという位置づけで行われました。中小企業者等が取得する少額減価償却資産について、取得価額要件などの点検・見直しが行われました。決算対策として活用されている制度のため、対象資産の範囲や上限額の変更点を確認しておく必要があります。この特例は、通常であれば数年に分けて減価償却する資産を、取得した年に全額経費化できる点が最大のメリットで、期末が近づいてから急な設備投資を行う場合の税負担調整にも利用されています。たとえば、当期の利益が予想以上に大きくなった場合に、必要な設備投資を前倒しして実行し、その取得価額を全額経費化することで、当期の税負担を調整するといった使い方が典型的です。ただし、税負担の調整だけを目的に不要な設備投資を行うことは本来の趣旨から外れるため、事業に本当に必要な資産かどうかを見極めたうえで活用することが望ましいといえます。
少額減価償却資産の特例の見直しが決算対策の実務に与える影響
期末の設備投資や決算対策を検討している法人・個人事業主は、改正後の要件を踏まえて計画を立てることが重要です。特にパソコンや事務機器、小型の工具・備品などをまとめて購入するケースでは、1点あたりの取得価額が40万円未満かどうかで扱いが変わるため、購入前に見積書等で価額を確認しておくとよいでしょう。設置費用や運搬費用など、取得に付随する費用がある場合はその費用も取得価額に含めて判定する必要があるため、見積書の内訳まで確認しておくと判定ミスを防ぐことができます。なお、取得価額の判定は原則として1個・1組単位で行われるため、同じ資産をセットで購入する場合はセット全体の価額で判定される点にも注意が必要です。応接セットや会議用テーブルと椅子のように、通常一体として使用される資産は、個々の価額ではなくセット全体の価額で40万円未満かどうかを判定することになるため、購入計画の段階で確認しておくと安心です。デスクとチェアを別々に購入した場合であっても、通常一体として機能する組み合わせであれば同様にセットとして判定される可能性があるため、個別に購入する場合でも慎重な検討が必要です。特に決算期をまたいで複数の設備投資を予定している場合は、どの資産をどの事業年度で取得するかによって使える上限額が変わってくるため、年度をまたいだ購入計画を早めに立てておくことをお勧めします。
少額減価償却資産の特例の見直しに関するよくある質問
Q. 少額減価償却資産の特例とは、どのような制度ですか?
A. 中小企業者等が取得した一定価額以下(40万円未満)の減価償却資産について、取得価額の全額をその事業年度の必要経費・損金に算入できる特例です。年間の適用上限額は300万円とされており、この上限を超える部分については通常の減価償却により複数年で経費化することになります。事業年度が1年未満の場合は、この300万円の上限額が月数に応じて調整される点にも留意が必要です。決算対策として設備投資のタイミングを調整する際によく活用されています。この特例を利用せず通常の減価償却を選択することも可能なため、当期の利益状況に応じてどちらが有利かを判断することもできます。
Q. 個人事業主でもこの特例は使えますか?
A. 青色申告を行う中小企業者等であれば、法人だけでなく個人事業主も対象となります。個人事業主の場合、事業を開始した初年度であっても青色申告の要件を満たしていれば本特例の対象となるため、開業当初から積極的な設備投資を検討している方にも活用しやすい制度です。ただし年間の適用限度額(300万円)などの要件があるため、設備投資を検討する際は事前に要件を確認しておくことをおすすめします。複数の資産を購入して上限額を超える場合は、どの資産を本特例の対象とし、どの資産を通常の減価償却とするかを選択する必要があります。一般的には、耐用年数が短く早期に経費化しても影響が少ない資産よりも、耐用年数が長い資産を優先して本特例の対象にすることで、より大きな税負担軽減効果を得られる場合があります。どの資産を優先すべきか判断に迷う場合は、資産ごとの耐用年数と取得価額を一覧にして比較検討すると選びやすくなります。なお、本特例の対象となるのは新品の資産に限られず、中古資産であっても取得価額が40万円未満であれば対象となり得るため、中古設備の購入を検討している場合もあわせて確認しておくとよいでしょう。
まとめ
少額減価償却資産の特例の見直しは、決算対策に関わる改正です。この特例は制度創設以来、期限が到来するたびに延長が繰り返されてきた経緯があり、中小企業の設備投資を後押しする役割を担っています。今回の見直しにあたっても、対象範囲や上限額の基本的な枠組みは維持されつつ、税制上の基準額としての整合性が点検された形です。設備投資のタイミングと決算期を意識して計画を立てることで、この特例を有効に活用しやすくなります。特に複数年にわたる設備投資計画を立てている事業者は、各年度の上限額を踏まえて取得のタイミングを分散させることで、より安定的に特例を活用できます。令和8年度税制改正の全体像は令和8年度税制改正まとめのページでご覧いただけます。改正の詳細は国税庁の公式サイトでも随時公表されますので、あわせてご確認ください。
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