皆様、こんにちは。税理士の菅原和望です。
たまプラーザ駅周辺の美しが丘・美しが丘西・新石川は、ご自宅の一室でネイルやエステのサロン、ピアノや英会話の教室を開いている方が多い地域です。当事務所は市が尾駅徒歩2分にあり、たまプラーザの方から「開業届はどこに出すのか」「自宅の家賃はどこまで経費になるのか」「住宅ローン控除は減らないのか」というご相談を多くいただきます。
この記事では、たまプラーザ周辺で自宅サロン・自宅教室を始めた方が最初の1年で押さえておきたい税務手続きと、自宅を仕事に使うときの経費の考え方を、提出先の窓口も含めて解説します。
美容室・サロンの税務を全体から確認したい方へ
当事務所では、開業届・確定申告・内装と美容機器の減価償却・物販・消費税とインボイス・面貸し・法人化までを1ページにまとめた美容室・サロンの税務 完全ガイドも公開しています。この記事はそのうちの1テーマを詳しく解説したものです。
開業届と青色申告承認申請書は市が尾の緑税務署へ
個人で事業を始めたときは「個人事業の開業・廃業等届出書」(開業届)を、事業を始めた年分の確定申告期限(原則として翌年3月15日)までに、自宅の住所を管轄する税務署へ提出します。青葉区・都筑区・緑区の管轄は緑税務署で、所在地は緑区ではなく青葉区市ケ尾町22-3(市が尾駅徒歩7分)です。たまプラーザからは田園都市線で3駅ですが、e-Taxで提出すれば窓口へ行く必要はありません。
あわせて「所得税の青色申告承認申請書」を、開業の日から2か月以内(1月15日までに開業した場合はその年の3月15日まで)に提出します。この期限を過ぎるとその年は白色申告になり、翌年分から青色申告をするには、翌年の3月15日までに申請書を出す必要があります。開業届とあわせて早めに出してしまうのが確実です。
神奈川県の個人事業税の手続きとして「個人事業開業・休業・廃業届出書」を緑県税事務所(青葉区市ケ尾町27-5)へ、こちらは開業の日から1か月以内に提出します。税務署・県税事務所・青葉区役所はいずれも当事務所と同じ市ケ尾町にありますので、窓口の場所は横浜市北部・川崎市北部の税務手続きガイドにまとめています。
美容師免許が必要な施術は保健所の開設届が先
カット・カラー・まつ毛エクステンションなど、美容師免許がなければ行えない施術を自宅で行う場合は、税務署の開業届とは別に、青葉区福祉保健センター生活衛生課(青葉区役所内)へ美容所の開設届を提出し、施設の検査を受ける必要があります。ネイルやエステ、リラクゼーションは美容所の開設届の対象ではありませんが、使用する機器や施術内容によって扱いが分かれるため、開業前に区の生活衛生課へ確認しておくと安心です。
教室については、音楽・語学・料理などの教室そのものに許認可は不要です。ただし料理教室で受講者以外に食事を提供する場合や、物販を伴う場合は別の許可が必要になることがあります。
青色申告の65万円控除を受ける条件
青色申告の特典で最も大きいのが青色申告特別控除です。控除額は帳簿のつけ方と申告方法で3段階に分かれます(令和8年分までは65万円・55万円・10万円、令和9年分からは75万円・65万円・10万円)。
- 65万円控除は、複式簿記で帳簿をつけ、貸借対照表と損益計算書を添えて、期限内にe-Taxで申告する場合に受けられます(令和8年分までは、e-Taxに代えて、優良な電子帳簿の要件を満たして保存する場合も可。令和9年分からは、e-Taxでの申告に加えて、優良な電子帳簿の保存などの要件も満たすと75万円)。クラウド会計ソフトを使えば、複式簿記の知識がなくても、取引を入力するだけで複式簿記の帳簿をつけられます。
- 55万円控除は、複式簿記で帳簿をつけて紙で申告する場合です(令和8年分まで。令和9年分からは、紙で申告すると10万円になります)。e-Taxにするだけで65万円になるため、自宅サロン・教室の方は最初から電子申告をお勧めしています。
- 10万円控除は、簡易な帳簿(現金出納帳など)で申告する場合です(令和9年分からは、前々年の事業の収入が1,000万円を超える方は、簡易な帳簿では原則として受けられなくなります)。
このほか、赤字を翌年以後3年間繰り越せる純損失の繰越控除、家族に払う給与を経費にできる青色事業専従者給与、40万円未満(2026年3月31日までに取得したものは30万円未満)の備品を一度に経費にできる少額減価償却資産の特例(年間300万円まで。開業した年は、300万円を12で割り、開業した月から12月までの月数を掛けた金額まで)も、青色申告の方だけが使えます。
自宅の家賃・光熱費の家事按分は根拠を先に決める
自宅の一室をサロンや教室に使っている場合、家賃・水道光熱費・通信費のうち、事業に使っている部分だけを経費にできます。これを家事按分といいます。按分の割合は、床面積の割合(施術室や教室として使っている部屋の面積÷自宅全体の面積)を基本に、リビングを共用している場合は使用している時間の割合を組み合わせて決めます。
実務では「サロンに使っている6畳の部屋が自宅全体の20%なので、家賃の20%を経費にする」というように、図面や間取りで説明できる割合にしておくことが大切です。税務署から尋ねられたときに、割合の根拠を示せない按分は認められないケースが多いです。割合は一度決めたら毎年同じ考え方で続けます。
賃貸の場合は家賃と共益費、持ち家の場合は建物の減価償却費・固定資産税・火災保険料・住宅ローンの利息(元本の返済は経費になりません)が按分の対象です。エアコンなど部屋に付属する設備を事業用に買い替えた場合は、その部屋の使用割合で按分します。
持ち家の方が気をつけたい住宅ローン控除への影響
持ち家の一部を事業に使うと、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)に影響します。住宅ローン控除の対象は居住用の部分だけです。ただし、居住用部分の床面積が全体の90%以上であれば、その住宅のすべてを居住用として控除を受けられます。逆に事業用の割合が10%を超えると、居住用の割合に応じた控除しか受けられなくなります。
そのため、持ち家で自宅サロンを始める方は、家事按分で経費にする割合と住宅ローン控除の関係をあわせて考える必要があります。経費を増やすために事業割合を大きくすると、住宅ローン控除が減って手取りではかえって損をする場合があります。どちらが有利かは所得の見込みと借入残高で変わりますので、開業前に試算しておくことをお勧めします。
材料費・教材費・備品はどこまで経費になるか
サロンのジェルや化粧品、教室の教材や楽譜、施術用のベッドや椅子、鏡、照明、看板、名刺、予約システムの利用料、SNS広告、研修や講習の受講料、資格の更新料は、事業のために支出したものであれば経費です。仕事着として使う施術用のユニフォームは経費になりますが、普段も着られる服は経費にできません。
1台10万円以上の備品(施術用チェアや電子ピアノなど)は、原則として耐用年数にわたって減価償却します。青色申告の方は40万円未満(2026年3月31日までに取得したものは30万円未満)のものを購入した年に全額経費にできる特例があります。開業前に支払った研修費や広告費などは開業費として繰延資産に計上し、好きな年に経費にできます。開業前に買った備品は、10万円未満なら事業に使い始めた年の経費になり、10万円以上なら減価償却の対象になります。開業前のレシートも捨てずに保管してください。
消費税とインボイスは「登録しない」選択が多い
消費税は、2年前(基準期間)の課税売上高が1,000万円以下なら納税義務がない免税事業者です。開業して2年間は原則として免税です。自宅サロン・教室のお客様は消費者の方が中心で、インボイス(適格請求書)を求められる場面はほとんどないため、売上が1,000万円を超えるまでは登録しない方が多いです。
ただし、法人契約で出張施術をしている場合や、企業の福利厚生として教室を開いている場合など、取引先が事業者であればインボイスの登録を求められることがあります。登録すると免税事業者でも消費税の申告と納税が必要になります。登録後の負担を軽くする特例については、インボイス2割特例はいつまで?令和8年度改正の「3割特例」と簡易課税の選び方で解説しています。
配偶者の扶養と住民税・国民健康保険の目安
配偶者の扶養に入ったまま自宅サロン・教室を続けたい方は、所得税と社会保険で基準が違う点に注意してください。所得税の配偶者控除は、2026年分(令和8年分)から合計所得金額62万円以下(収入から経費と青色申告特別控除を引いた後の金額。2025年分は58万円以下)が要件で、これを超えても133万円までは配偶者特別控除が段階的に受けられます。一方、健康保険の扶養は年収130万円未満などの基準で判定され、経費や青色申告特別控除の扱いは加入している健康保険組合によって異なります。
住民税は、所得税の確定申告をすれば区役所への申告は不要です。所得が少なく所得税の申告が不要な年でも、住民税の申告が必要になる場合がありますので、迷ったら青葉区役所税務課か当事務所にご相談ください。所得税の改正点は令和8年分の確定申告・年末調整はここが変わるをご覧ください。
たまプラーザの方の記帳と申告を当事務所が引き受ける場合
当事務所では、開業届と青色申告承認申請書の作成・電子提出、マネーフォワード クラウドを使った記帳の仕組みづくり、家事按分の割合の設計、確定申告までを代表が直接担当します。売上が小さいうちは申告のみの単発のご依頼(青色申告50,000円〜、税抜)で始めて、事業が育ってきたら顧問契約に切り替える方が多いです。料金は料金表で公開しています。たまプラーザ駅周辺の方向けのご案内はたまプラーザの税理士をお探しの方へにまとめています。
よくあるご質問
Q. 開業届を出さないと罰則はありますか?
開業届を出さなかったこと自体に罰則はありません。ただし、青色申告承認申請書を期限内(開業日から2か月以内。1月15日までに開業した場合はその年の3月15日まで)に出さないと、その年の青色申告ができず、65万円控除や赤字の繰越が使えません。出し忘れを防ぐため、開業届とセットで早めに出しておくのが確実です。屋号付きの銀行口座や創業融資の申込みでも開業届の控えを求められますので、事業を始めたら早めに提出してください。
Q. 自宅の家賃はどのくらいの割合まで経費にできますか?
決まった上限はなく、実際に事業に使っている割合が基準です。専用の部屋があれば面積割合で、リビングを共用しているなら面積と時間の両方で説明できる割合にします。50%を超えるような按分は、自宅の大半を事業に使っている実態がなければ認められにくく、持ち家では住宅ローン控除にも影響します。
Q. 売上が年間30万円程度でも確定申告は必要ですか?
売上から経費を引いた所得が基礎控除の範囲内であれば所得税の申告義務はありませんが、住民税の申告が必要になる場合があります。青色申告の特典を使うためには所得が少なくても申告が必要です。また、配偶者の勤務先に扶養の状況を報告するときにも申告書の控えがあると説明が簡単です。
まとめ 税理士からのアドバイス
たまプラーザで自宅サロン・自宅教室を始めた方は、開業の日から2か月以内に青色申告承認申請書を開業届とあわせて緑税務署へ提出し、家事按分の割合を間取りで説明できる形で決めておくことが最初の一歩です。持ち家の方は住宅ローン控除への影響を確認したうえで事業割合を決めてください。消費税とインボイスは、お客様が消費者中心であれば登録しない選択が一般的です。
届出の様式と記載例は、国税庁のタックスアンサー「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」で確認できます。
当事務所は、開業の届出から記帳の仕組みづくり、確定申告までを代表が直接担当しています。業務内容をご確認のうえ、お問い合わせからご相談ください。顧問契約をご検討の方の初回面談は無料です。
横浜市青葉区・都筑区・緑区で自宅サロン・自宅教室の開業と確定申告のご相談は、ぜひ菅原和望税理士事務所へご相談ください。
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独立開業の税務を全体像から確認したい方は、独立開業・会社設立の税務 完全ガイドもご覧ください。
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